一方、笹尾さんはエンジニアとしてメーカーでAIの開発などに従事。「単なる技術ではなく、実際に世の中の人の役に立てるものを作りたい」と思っていた3年前のある日、西村さんの講演を聞き、「子どもたちの笑顔につながるなら」と協力を申し出たという。
といっても当時は機器も高額で、夢の構想でしかなかったが、最近になりAIの性能が大幅に進歩。笹尾さんも2018年に独立して会社を立ち上げ、カメラに映すだけで骨格を検出するソフトを開発し、西村さんとともにゲームの制作に乗り出した。
最初に思い付いたのは、姿勢を正して落ちてくる果物をキャッチする「かわいい」ゲーム。だが「1種類だと飽きてしまう」と種類を増やす中で、「子どもといったら、うんちとUFOやろ!!」(西村さん)と、冒頭の「いせいじんとたたかっチャオ」のほか「うんちをとびこえチャオ」など計6種類を次々と作り上げた。そもそも、西村さんは講演にまで「うんち帽子」をかぶって登場するほど。「これがあったら子ども(結構、大人も)は100%笑顔になる。目指すのは、全国一、フザけた理学療法士です」と胸を張り、うんちグッズ集めに余念がない。
と、少し脱線したが、その二人の熱意もあって、完成したゲームは機器も含め「全国の保育園に配れるぐらいの価格」になる見込みに。レベル設定などで、成長の過程を数値化することも検討しており、現在、西村さんが運営する児童発達支援事業所などで子どもたちに使ってみてもらっているほか、今後、クラウドファンディングで制作費を募る予定という。
「実際やってみると、大人でも脇腹が痛くなるぐらい。めっちゃ楽しいです」と西村さん。「強制でなく、遊んでいるうちに―というのがポイント。発達障害などの場合、まず『体を動かしたい』などの欲求を十分満たしてあげることで、驚くほど気持ちが落ち着くこともあるんです」と言い、「本人だけでなく、子どものことで悩み続けているお母さんやお父さん、どう接していいか分からなくて困っている保育士さんらに、笑っている子どもたちを見て喜んでもらい、成長も感じてもらえれば」と力を込める。
・ILLUMINATE https://illuminate-kobe.co.jp/
ゲームの詳細は子どもと姿勢研究所(https://kodomotoshisei.com/)で。
・アキュラス https://acculus.jp/
クラウドファンディングの情報も。