かけがえのない思い出を救え! 西日本豪雨で泥水に浸かった写真を洗浄するボランティアが大阪で活動中

平藤 清刀 平藤 清刀

 2018年の西日本豪雨の際、家屋が浸水して多くの写真が泥水に浸かってしまった。

 「大切な思い出が消えてしまう」

 岡山県倉敷市真備町で、被災した写真を洗浄するボランティア活動が始まった。同じ志をもって活動しているグループが大阪にもある。

 真備町にはすでに「真備町写真洗浄@あらいぐま岡山」として活動しているボランティアグループがある。大阪での活動を立ち上げたメンバーのひとり田中睦美さん(38・主婦)は、今年4月に真備町で写真洗浄の活動を手伝ったことがきっかけとなり、「真備町写真洗浄@あらいぐま大阪」として活動することを決心。だがすぐに、作業場所をどこにするかという問題にぶち当たる。しかし間もなく「店舗を提供してもいい」という協力者が現れて、6月30日から本格的に活動を開始。取材した7月21日は、大阪で4回目の作業日とのことだった。

 作業場所を提供しているのは、大阪市東住吉区にあるカフェ「HONU COFFEE」。もともと町工場だった建物を改装した店舗は空間に柱がなく、適当な広さもあって、作業場所としてうってつけだ。ただし平日は営業しているから、作業ができるのは日曜日の12~15時のわずか3時間だ。

 参加者はFacebookやTwitterで募る形になっていて、毎回平均して10人程度は集まるという。参加者は自分の都合で遅れてきてもいいし、途中で退出してもいい。取材した日の参加は14人だったが、多いときは18人が参加したという。

 泥水に浸かった写真を濡れたままにしておくと、泥の中にいるバクテリアが写真の表面を分解していく。だから、とにかく写真を乾燥させることが最優先だという。

 田中さんは、参加者を「洗い班」と「仕上げ班」に分け、何度か参加して手順を心得ている人に班長を任せる。汚れ防止と防水のため、テーブルにブルーシートをかぶせたら作業開始だ。

 真備町から大阪へ送られてくる写真は、すでに乾燥作業を終えてある。「洗い班」はこれを水道水で、フチのほうからやさしく手洗いする。写真は水洗いできるのだ。洗い終わった写真は、洗濯挟みで吊るして干す。下から扇風機で風をあてると、30分もあれば乾く。

 写真は家族ごと、アルバムごとに番号が付与され、1束でアルバム1冊分として管理されている。写真を干している間も、洗い班は別の束の洗浄に取り掛かる。初参加の人がいるためか、初めのうちはなんとなくよそよそしい雰囲気が漂う。だが、それもつかの間。同じ目的で集まった者どうし、すぐに打ち解けてワイワイと雑談が始まって、一気に和やかな雰囲気に変わる。

 宝塚市から来たという井原和恵さんは、中学生の息子・潤君を連れての参加だ。熊本地震の被災地にも、当時小学生だった潤君を連れてボランティア活動に参加したという。

 藤井明人さんは、修理率97%を誇る「よどがわおもちゃ病院」のおもちゃドクター。壊れたおもちゃを修理する活動をやっている。「なんでもやってみたいから」と、写真洗浄の活動に参加したという。

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