さらば、愛しの十三!老舗ライブハウス「ファンダンゴ」が堺に移転 名物店長に思いを聞いた

黒川 裕生 黒川 裕生

「移転先が決まってからは、堺のことで頭がいっぱいになっていたけど、いよいよ十三との別れが近づいてきた今は、自分でもびっくりするくらい寂しい」と加藤さん。1990年にアルバイトで入り、94年から実に四半世紀もの間、2代目店長を務めてきた。「人生のほとんどの思い出が十三にあると言っても過言ではない」という。

十三で一番思い出深いことは何か、と野暮なことを訊ねてみたが、「思い出と言われてもキリがないですよ」と苦笑。「ファンダンゴゆかりのバンドを挙げるとしたら、世間的にはやはりウルフルズということになるでしょうか。ウルフルズといえば、アンコールでなかなか出てこないので呼びに行ったら、メンバー全員で駐車場のカー××××をじっと見守っていた、なんてことがありました。30年の思い出なんて万事こんな感じで、いい話なんてあんまりないですよ。あとは喧嘩とか(笑)」。加藤さんはそう言ってはぐらかすが、今月のライブスケジュール(紙)には30年分の思いがこもった加藤さんの熱いコラム「あばよ!僕の第二の故郷“十三”よ!」が掲載されているし、ファンダンゴの公式サイトなどを見れば、2014年に火災に見舞われたしょんべん横丁や、震災や豪雨の被災地の支援のため、ファンダンゴがどれだけ汗を流してきたかがわかる。

ちなみに取材日(7月5日)の夜に出演したのは、いずれもファンダンゴと縁の深いSuiseiNoboAz、eastern youth、クリトリック・リスの3組。7月中は他にも、2014年に結成30周年で初の日本武道館ワンマンを成功させた怒髪天とウルフルズの対バン(11日、完売)など、加藤さん曰く「昔のよしみ」で多くのミュージシャンが駆けつける。そして31日、ラストを飾るのは1985年結成の大阪出身のロックバンド、GARLICBOYS(こちらも完売)。「最後、何が起きるんかな。ファンダンゴ燃やされたりして」と加藤さんは縁起でもないことを言って笑う。

一方、新天地でファンダンゴの未来を担う村上さん。10年前、初めてファンダンゴにライブを見にきたときはしょんべん横丁で酔い潰れてしまい、会場に辿り着けなかったというものすごくダメな逸話を持つ。「ここがなくなると決まってから、たくさんの人に十三への愛を聞かせてもらった。打ち上げでミュージシャンと朝まで文句を言い合い、語り合ったのも、十三でのいい思い出です」と振り返り、「この場所を愛している人たちに大切にしていただいたので、ここまでやってこられた」と感謝する。

「堺でも、まずはその土地になじみ、地元の人たちにとっての遊び場になりたい。新しいファンダンゴを拠点に、堺が『音楽のまち』と呼ばれるようになれば、最高ですね」

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8月2日、3日には、「エンドロール」と題して別れを惜しむバー営業を実施。ライブ演奏はないが、記念撮影用にステージや楽屋、階段を開放する。さらに古いスケジュールやチラシなどを展示する「思い出秘宝展」、各種グッズ販売、歴代スタッフによる加藤さんの暴露話なども予定。営業時間は2日が17時~23時、3日が13時~21時。入場無料、要ドリンク注文。

なお、7月中のライブは、まだ完売していない日もある。ファンダンゴの公式サイトなどで確認を。

■ファンダンゴ https://www.fandango-go.com/jp/jindex.htm

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