“雑誌離れ”に抗い隔週発行を貫く 損得にシビアな関西人の心つかむ手法

山口 裕史 山口 裕史
「関西ウォーカー」創刊号(左上)からの表紙の変遷。ギラギラ感は現在とほとんど変わらない
「関西ウォーカー」創刊号(左上)からの表紙の変遷。ギラギラ感は現在とほとんど変わらない

 エリア情報誌の草分けと言えば「ぴあ」。72年に東京で創刊し、85年に「ぴあ関西版」を発刊したが2010年に休刊。また、関西に拠点を置く京阪神エルマガジン社が77年に発行した情報誌「Lmagazine」も08年で休刊した。

 「関西ウォーカー」はKADOKAWAが90年に発刊した「東京ウォーカー」に次いで発刊された。姉妹誌の「東京ウォーカー」「東海ウォーカー」「九州ウォーカー」「横浜ウォーカー」がWeb版への比重を強めていることもあり、月刊や隔月刊へと発行頻度を減らす中で「関西ウォーカー」の奮闘ぶりが際立つ。同編集長は「同じテーマでも大阪、京都、神戸という個性が異なる都市があるおかげで読みごたえのある誌面づくりができることも大きい」と分析した上で「もちろん(隔週発行の)意地もあります」と笑った。

 ネット情報の台頭で発行部数は90年代後半に記録した60万部から現在は5万部弱にまで減っているが「近年は下げ止まり傾向にある」そうで「号によって売り上げの上下もなくなり、固定ファンがしっかりついてくれているのを実感しています」。一方、雑誌販売の落ち込みをカバーしているのがネット上の雑誌読み放題サービスだ。「以前は冒頭ページはニュースやトピックを載せていましたが、ネットの読者がすぐに特集を読めるよう今年から特集ページを先に持ってきています」と変化への対応も怠らない。

 ピンクや黄、赤、青を使ったタイトル文字をてんこ盛りに詰め込んだ表紙のギラギラ感も創刊以来続くお約束だ。「値段に対しどれだけの情報が詰まっているかを見極める関西人向けならではの表紙」と篠原編集長。時代は移り変わっても、編集部と読者の熱量は変わらない。

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