旧共産圏の遺産はウルトラ怪獣とつながっていた!写真集「旧共産圏遺産」著者が語る

北村 泰介 北村 泰介

 閑話休題。続いて目を引いたのは、クロアチアの「モスラヴィナの革命記念碑/石の花」。強制収容所で殺害された犠牲者に捧げられた慰霊のモニュメントだ。日本ではサッカー強国のイメージが強いクロアチアだが、多くの民衆の血が流されてきた歴史が伝わる。

 ハンガリーでは「リトル・モスクワ」と称された、有刺鉄線に囲まれた軍事施設を撮影。霧に包まれた森を抜けた先には旧ソ連の代表的な戦闘機「ミグ」が放置された“墓場”がある。ブルガリアにある共産党ホールやボスニア・ヘルツェゴビナの国境付近にある軍事基地の廃墟、アルバニアのトーチカ、コソボの奇天烈な建造物である国立図書館…。バルカン各地に残る「共産主義の夢の跡」が散りばめられている。

 星野さんは「私自身は思想的なものを持っていないですけど、旧共産圏の力強い曲線構造のデザインに迫力があって魅力を感じる。SFチックな要素から異次元に吸い込まれるようなところも面白い。消えていくもの、保存されるものがあり、定点観測としてまた現地でうろうろしたいです」と第2弾にも意欲的。7月20日からは都内の「新宿眼科画廊」で発行記念写真展の開催が予定されている。

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