ウォーキングコースの遊歩道があるような大きな公園に捨てられていた子猫。夢中でバッタを捕まえようと飛び跳ねていて、人間の前に現れた。保護された後、がつがつ食べて大きな猫になった。
突然目の前に現れた子猫
福島県に住む鈴木さん夫妻は、健康のためにウォーキングするのを日課にしている。2012年8月26日、その日の夕方もいつもと同じように近くの大きな公園の遊歩道を歩いていた。猫を見かけたことはないが、バッタを追いかけるのに夢中になっていた子猫が突然、夫妻の目の前に現れた。周囲には、猫が食べるようなものはなく、ただただ草地が広がっている。どうやらバッタを捕まえて食べようとしていたようだった。
子猫がたった1匹で来るような場所ではない。夫妻は「誰かが捨てた」と直感し、お互い「どうする?」と尋ねることもなく、「言わなくても分かるよね」と暗黙の了解のもと子猫を保護した。
子猫を捕まえようとすると、逃げる気力も体力もなかったようで、ご主人の腕に抱きかかえることができた。帰路、大きな道路の横を通るので、車の音にびっくりして暴れたらどうしようと思ったが、子猫はじっとしていた。
飢えて昆虫や草を食べていた
鈴木さんは、3匹の猫を飼っているので、ひとまず子猫を隔離する場所を設け、ご主人がシャンプーをした。その間に、奥様がドラッグストアにキャットフードやノミ取り用の薬品を買いに走った。
「おびただしい数のノミがついていて、猫風邪もひいていたので、1カ月くらい隔離しました。翌日、動物病院に連れて行くと、体の大きさは生後3か月くらいだったのですが、獣医さんが生後半年くらいだとおっしゃっていました。食べるものがなくて、昆虫や草を食べて生きていたのでしょうね。他の猫はそんな匂いがしないのですが、青臭い臭いがしたんです」
ふぅちゃんと名付けられた子猫は、飢えていたので、キャットフードをがつがつ食べたという。
保護してくれた夫妻には甘えるふぅちゃん
キャットフードを一生懸命食べたふぅちゃんは、とにかくよく食べる子で、いまは体重6.3㎏の大きな猫になった。女の子だが、鈴木家の猫の中で一番の大きさだ。
ふぅちゃんは、他の猫とも仲良くできる。お兄ちゃん猫のけーすけくんとかえでくんは、ふぅちゃんが来るまでは末っ子だったが、ふぅちゃんが来てから、少し大人びた。
猫とは仲良くできるが、人間は鈴木さん夫妻にしか心を許していない。親戚が来ると怖がって、布団に潜ったまま出てこない。どんなに暑い日でも出てこない。しかし、鈴木さんが呼ぶと、キャットタワーのハンモックで熟睡していても、すぐに降りてくるそうだ。