真夏の雨上がり、草むらに捨てられていた3匹の子猫がいた。保護された3匹のうちの1匹、女の子のまぁるちゃんは、保護主の佐藤さんのことを母猫のように慕っている。
草むらに捨てられていた子猫たち
2011年7月、そろそろ夏休みが始まろうとしている頃、埼玉県に住む佐藤さんは、本屋に行くために国道沿いの道を歩いていた。何気なく歩いていたのだが、道沿いの草むから「ミーミー」という子猫の鳴き声がした。「どこにいるんだろう」と草をかきわけると、まだ目も開いていないような3匹の子猫がいた。
「母猫の姿が見当たらず、雨上がりだったのに子猫がまったく濡れていなかったので、捨てられたんだと思います」
佐藤さんは、たまたま大きなバッグを持っていたので、子猫を拾ってバッグに入れた。通りすがりの人が「1匹もらってもいいよ」と言ってくれたので、保護してもらった。
2匹の子猫を保護した佐藤さん。以前、猫を飼っていたことがあるが、しばらく飼っていなかったので、ミルクの与え方など、子猫の世話の仕方をネットで検索した。子猫たちは、ゴクゴク元気にミルクを飲んだという。
兄弟とのお別れ
佐藤さんは、女の子をまぁるちゃん、男の子をぐうぐうくんと名付けた。ぐうぐうくんは、2歳半の時に下痢をし始めて、おかしいなと思ったら、がんのような難病にかかっていた。治療法が見つからず、2歳半で亡くなってしまった。
ずっとぐうぐうくんと一緒に暮らしてきたまあるちゃんは、相棒がいなくなって落ち込み、しばらくごはんを食べなくなったという。
「ぐうぐうが亡くなる半年ほど前に、ねじちゃんという猫も家族になったので、ねじちゃんがいるからなんとか乗り越えられるといった感じでした」
その後、まぁるちゃんは元気を取り戻し、8歳になっても年に一度、ワクチンを打つ時にしか動物病院に行かないそうだ。
私は人間?
子猫の時、目が開くか開かないかくらいの頃から佐藤さんに育てられたまぁるちゃん。どうやら自分のことを猫ではなく人間だと思っているのか。まぁるちゃんは、8匹の猫と一緒に暮らしているが、佐藤さんとまぁるちゃんは別格、8匹は「あんたたちは猫なのね~」という感じらしい。みんなは遊ぼうと近寄ってくるが、シャーシャー言って威嚇する。
そんなまぁるちゃんも佐藤さんには愛くるしい顔を見せる。家の中で佐藤さんが何をしているのかよく見ていて、しょっちゅう目が合う。座ると必ずひざの上にのってきて、寝る時に電気を消すと、飛んできて佐藤さんの肩をちょんちょんと叩いて、布団の中に入れてくれと言う。わざと無視していると、今度は顔をちょんちょんと叩く。他の猫は布団の上で寝るが、佐藤さんの右側は、私の場所だと決めているそうだ。