実は奥深い「ワタナベのナベ」の世界 たくさんの異体字が存在する理由

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 各市区町村のデータベースに登録されてたのは、戸籍を提出した人が書いた字体そのもの。同じ漢字のつもりでも、トメ・ハネ・ハライなど書いた人の癖まで反映されており、市区町村によって登録されている漢字が微妙に異なっていたのだ。統一システムを構築するにあたって、これらを全て別の字としてカウントしたことで、さまざまな異体字が生まれたという。

 このような経緯もあり“異体字”という表現であっても「姓に使われている漢字に正しいも間違いもない」とのこと。そして同副館長は「パソコンが普及したからこそ、さまざまな異体字の存在が明らかになり、身近なものになった」と補足してくれた。ちなみにワタナベ同様さまざまな表記が存在する「サイトウさん」の「サイ」よりもナベの方が異体字の数は多いそうだ。

 ミュージアムの特設コーナーではお気に入りのナベとの記念撮影が可能。また、コーナーのすぐ側に置いてあるノートには「タカハシさん」や「ヒロセさん」など、さまざまな異体字の名字が書き込まれていた。

 特別展「異体字の世界“ワタナベ”」は9月2日までだが、他にもさまざまな展示があり、夏休みの自由研究にももってこいだ。10月からは年末恒例「今年の漢字」の大書が展示される。思いのほか奥深い漢字の世界。普段何気なく使っている文字にも、まだまだ新たな発見があるのかもしれない。(デイリースポーツ・伊藤笙子)

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