「紀州のドン・ファン」と称された資産家で酒類販売会社社長・野崎幸助さん(当時77)が昨年5月24日に和歌山県田辺市内の自宅で不審死してから、1年が経過した。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は25日、デイリースポーツの取材に対し、和歌山県警の捜査員が別の類似した事件について事情を聴くために、警視庁を訪れていたことを明かした。
この“事件”とは、昨年7月、都内の自宅で28歳の女性に大量の覚醒剤を飲ませて殺害したとして、殺人と覚せい剤取締法違反(使用)容疑で今年3月に逮捕された税理士で不動産会社役員の石原信明容疑者(69)の件だ。この事件は、野崎さんの不審死との類似性が指摘されている。
小川氏は「司法解剖の結果、女性の体内からは致死量の100倍の覚醒剤が検出された。通常、覚醒剤の容疑者が使用するのは、1回、0・02~0・03グラムと言われており、致死量は、1~2グラムだとすれば、かなりの量になる」と解説。石原被告は東京地検に「殺意を認定できなかった」とされ、殺人での起訴ではなく、傷害致死と覚醒剤取締法違反(使用)で起訴されている。
小川氏は「この件に関して、逮捕後と、傷害致死で起訴後に、和歌山県警の複数の捜査員が警視庁を訪れています」と明かす。同氏は「ご遺体の状況、死因等、その類似性から、野崎さんが急死した状況の分析につなげるものとみられている」と説明した。
“ドン・ファン”の不審死から1年。今月18日には野崎さんの55歳年下の妻、野崎さんの兄夫婦、会社の幹部の計4人のみが一周忌法要に参列したという。まだ真相が明らかになる気配はないが、水面下では今も慎重に捜査が進められている。
小川氏は「(犯人逮捕の)Xデーがいつになるか分からないが、和歌山県警は警察の威信にかけて決着をつけるだろう」と、解決の日が来ることを示唆した。