タカラトミー(証券コード、7967)の人気ボードゲームといえば「人生ゲーム」だが、その新製品の「令和版」ではゴールをなくしたそうだ。小学生が目指す職業がユーチューバーだからか、最も多くのフォロワーを集めた人が勝ちというルールにした。さらに、もう1つなくなったのがゲーム用の「紙幣」。ゲームのルールに直接関係しないとはいえ「キャッシュレス」時代を象徴しているかのようだ。ネット通販の浸透もあり、使う方も、ずいぶんと非現金決済、つまりキャッシュレスにも目が慣れてきたということか。ではキャッシュレスの浸透は、どういった会社の収益の追い風になるのだろうか。
国内で多く利用されている「キャッシュレス決済」は主に3種類に分けられる。1つは前からあるクレジットカード。次に普及した交通系などの電子マネー。そして中国で普及が先行し、国内でも昨年から急速に広がったのがQRコード決済だ。キャッシュレス決済の増加で恩恵を受けるのは、まず決済サービスを提供する会社だろう。クレジットカード大手5社や、電子マネーでは流通系も利用者が伸びている。ちなみに楽天(4755)はクレジットカード、電子マネー、QRコード決済のすべてを手がけている。
サービスの普及に欠かせないのは決済端末機の普及だ。クレジットカードや電子マネーの決済専用端末の主要なメーカーはパナソニック(6752)、NEC(6701)傘下のNECプラットフォームズ、東芝テック(6588)、セイコーホールディングス(8050)傘下のセイコーインスツルなど。ただQRコード決済に関しては決済時に信用情報の照会が不要とあって、必ずしも専用端末が必要ない。個人商店などでは店舗用のスマホ内蔵カメラでQRコードを読み取り、決済を終えてしまうケースもあり得る。
一方で、幅広いキャッシュレス決済手段に対応する商業施設の動きも出てきた。JR西日本(9021)は傘下の13社が運営するショッピングセンター28施設の約3000店舗で、従来のクレジットカードや交通系電子マネーに加え、流通系も含めた電子マネー、QRコード決済など利用できるキャッシュレス決済のブランドを大幅に増やす。5月から順次、店舗に投入を始めたのはNTTデータ(9613)が提供するクラウド型決済の共通基盤「CAFIS Arch」だ。端末が1台あればクレジットカード、流通系含む電子マネーの7ブランド、QRコード決済は中国系2ブランド含む9ブランドの決済が利用できる。