「キャッシュレス化の波がどれだけ辛いか…」 毎月30万円支払い…個人経営店が訴える手数料負担3%の苦しみ

山脇 未菜美 山脇 未菜美

クレジットカードや電子マネー、QRコードなどキャッシュレス決済の普及が進む中、飲食店を営む男性の悲痛な訴えがSNS上で注目を集めている。

「キャッシュレス化の波がどれだけ辛いか」。店では仲介店にクレジット3.24%、QRコード1.98%の手数料を支払っており、3店舗で毎月約30万円を支払っているという。「1000円の商品に対して30円と聞けばわずかな負担に見えるかもしれませんが、原価や人件費、光熱費、家賃などを差し引くと、利益は100円もありません。100円もない利益から30円を持って行かれているのが現状です」と説明する。

7割がキャッシュレス決済

東京都に2店舗、千葉県に1店舗のイタリアンレストランを運営する男性(40)。従業員は20人ほど(正社員13人)。利便性を高めるために、オープン時からキャッシュレス決済を導入している。10年前は2割もなかったが、国の予算を導入したポイント還元キャンペーンの影響で急増。今ではクレジットカードが4割、QRコード3割、現金が3割で、キャッシュレス決済が7割を占めるようになった。日本クレジット協会が3月29日に発表した統計によると、決済額が消費全体に占めるキャッシュレス決済比率は2023年に39.3%と過去最高を更新している。

「手数料率などは知った上で加盟していますし、一人一人のお客様に対して、手数料率が掛かるから嫌だと思う気持ちはありません。でも、貸し切りでまとまった金額を現金で払って下さる方がいると、輝いて見えますね」と男性。キャッシュレス決済の手数料分を客に負担してもらうことは、規約で禁止されているという。

一方で、円安や世界的なインフレ、物価高…と経費は積み重なるばかり。しかし、「値上げに踏み切ればいい」という単純な構造ではないという。「当店は、本当に美味しいものをリーズナブルに―というのが売りで、お客様に満足して頂けるように常に企業努力が必要なんです。同業者から『赤字だから値上げをしたけれども、お客様が離れてさらに赤字になった』という声をもよく聞きますので」と話す。

しわ寄せで潰れる店も…?

SNSに綴った理由は、しわ寄せで潰れる店が出てきてもおかしくない状況に危機感を持ったから。日本は海外に比べて手数料率が高く、業種によって手数料の優遇の差があるなど、見直すべき点があるのではないか、との思いがあるという。「もともと国がポイント還元などをアピールすることでキャッシュレス化に誘導したのだから、その手数料を個人店が負担し続けて終わりというのは、あまりに無責任です。菅政権時代に見直しが入った携帯電話の通信料のように、適正価格になるように政府主導で働きかけるなどの動きをしてほしいです」

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