本当に猫を飼えるのか、心配だった理由
今枝さんは、でんちゃんに会う前から思いが募るばかりだったが、じつは、猫を飼うのをためらうのには理由があった。
今枝さんは、いままで犬しか飼ったことがなく、長年一緒に暮らしている、マルチーズとチンのミックス犬“しずくちゃん”(10歳・女の子)との相性も心配だった。
加えて、今枝さんは、猫アレルギーが陽性なのだ。猫を飼っている人の家に行くと、まぶたが腫れたり、鼻水やくしゃみが出たりする。
「本当に猫を飼って大丈夫なのか、ずいぶん悩みました。でも、アレルギー症状が出たら、私が治療すればいい、何かあってもなんとかなると思ったんです」
でんちゃんとのお見合いから1ヶ月後、2017年4月にでんちゃんは、今枝さんの家族になった。アレルギー症状は出ていない。
でんちゃんは、警戒心が強いのか、最初は、用意していたダンボールハウスにこもっていることが多かった。でんちゃんに興味を持って近づくしずくちゃんのことを「シャーシャー」と威嚇することもあったが、だんだんお互いに慣れて、でんちゃんがしずくちゃんのことを遊びに誘うようになった。しずくちゃんは、でんちゃんが被っている帽子を噛んで引っ張ることもあるが、でんちゃんが怒ることもない。2匹はまるで昔から一緒に暮らしているかのように仲良しなのだ。
「でんちゃんは、普通に歩いていて足を踏み外したり、夢中で遊んでいて急に眠ってしまったりするんです。見ていると飽きることがありません。最近、私にも甘えてくれるんですよ」と、今枝さんは幸せそうに話す。