畑に遺棄された子猫たち
2024年4月27日の夕方、千葉県在住のNさんのところに知り合いから、「さっきまでなかった箱に子猫が捨ててある」と連絡がきた。 その場所は捨て猫が多く、Nさんは過去にも保護したことがあった。夜は真っ暗で人通りもなく、昼間はカラスがたくさん飛んでいる地域だという。
「他にも乳飲み子を含む保護猫を抱えており、正直どうしよう……とは思いましたが、保護することは決めていました。 すぐに子猫の安全確保をしてもらい、迎えに行きました。 箱の中には5匹の子猫がいて、全員とにかく目がぐちゃぐちゃで、身体も汚れていました。 鼻も詰まっているようで、動物病院を受診して点眼と抗生剤を処方していただきました。残念ですが、1匹は命を落としました。その子はわたあめと名付けました」
ひとしずくでもミルクを飲んで
2匹の子猫はボランティア仲間のSさんに世話してもらうことが決まり、茶白ちゃんと三毛ちゃんをNさんが連れて帰った。
「茶白ちゃんが夜になって開口呼吸がひどく、とにかく苦しそう。でも時間が遅くて病院はどこも開いておらず、途方に暮れました。幸せにするとこの子たちに約束したので、死なせるわけにはいきません。 徹夜で保温と、点眼点鼻しました。少しでもミルクを口に入れないと脱水や低血糖でますます状態が悪化するので、0.5から1ccを少しずつ、少しずつ飲ませました」
三毛ちゃんも明らかに目の状態が悪くなり、このままでは癒着すると思われた。Nさんは、 翌朝病院に駆け込んで、すぐにネブライザーや輸液をしてもらったという。
「インターフェロンを注射してもらい一旦家に連れて帰りました。体重はどんどん減って、このままではますます弱ってしまうので、また翌日、受診して入院させていただくことにしました」
2匹とも少しずつミルクと離乳食を口にできるようになり、今は離乳食に顔を突っ込んで食べているという。名前は茶白の子をピノちゃん、もう1匹をパピコちゃんにした。
「大きくなったら、にゃんハートの譲渡会で幸せ探しをします。 様々な経緯で保護されたたくさんの子たちが譲渡会に参加します。 猫を飼おうと思っている方、ぜひ保護猫を迎える選択をしていただきたいです」
誰かにとって欠かせない存在であるように
Sさんが預かった2匹の子猫は、茶白の子とキジ白の子だった。2匹とも風邪をひいていて特にキジ白は両目が白濁して瞬膜が腫れていて、自力で食べることができない状態だった。エサを強制給餌したという。
「病院へ行って毎日の投薬と点眼数種類で少しずつ良くなってきて、目も白濁したのが少しずつ薄くなってきています」
名前は、茶白を「玄米(げんまい)」、キジ白を「黒米(くろまい)」と名付けた。
「日本人には欠かせない主食のお米にちなんでいます。この2匹は畑に遺棄されていた子ですが、これから出会う誰かにとって大切で必要な存在として生まれてきた、その人にとって欠かせない存在でありますようにという願いを込めています」
治療は継続中だが、4匹の子猫たちが譲渡会に出られる日はそう遠くない。