深夜のカラオケボックスの中で発見された子猫、運命の人のもとへ

渡辺 陽 渡辺 陽

 カラオケボックスの機械の中にいた5匹の子猫たち。なぜそんなところにいたのか分からないが、2匹の子猫だけは、生命力が強かったのか、なんとか命をつなぐことができた。

閉店後のカラオケボックスから子猫の鳴き声が!?

 2016年、日暮れの時刻が早くなり、秋の気配が感じられる季節、閉店後のカラオケボックスの機械の中から、かすかに猫の鳴き声が聞こえてきた。保護主さんは、「こんなところにまさか!?」と思ったが、闇夜の静寂の中、ニャアニャアという鳴き声が確かにする。懐中電灯の明かりを頼りに機械の中をのぞいてみると、そこには5匹の子猫がいたという。

 1匹は既に息絶えていて、もう1匹もレスキューしている最中に死亡。保護主さんは、3匹の子猫を保護団体のワンハート大阪に託したが、その後、1匹の子猫が亡くなり、2匹の子猫だけが助かったという。

 なぜか5匹のうち2匹は油にまみれていて、便にも油が混じっていた。誰かがカラオケボックスの機械の中に捨てたと考えられているが、母猫が暖かい場所で出産した可能性もあるそうだ。

 保護主さんが獣医師に診せると、生後数週間ということだったが、子猫たちがあまりに小さかったため、そう見えたようだ。ワンハート大阪のかかりつけの獣医師は、歯が生えているので、おそらく生後1カ月くらいではないかと診断した。

忘れられない猫、でんちゃん

 京都府内に住む今枝さんは、猫を飼おうと思っていたわけではないが、スマートフォンを触りながら、「保護猫 関西 女の子」と検索してみると、カラオケボックスで保護された子猫が出てきて目に止まった。その子が、後に今枝さんの家族になるでんちゃんだ。

 以来、今枝さんは、でんちゃんのことが頭から離れず、ワンハート大阪のブログにでんちゃんが載るのを楽しみにするようになった。いままで犬しか飼ったことがなく、しずくちゃんもいるので、実際に飼おうとは思わなかったが、とにかく気になって仕方がなかった。

 どうしても忘れられない。2017年3月、でんちゃんがワンハート大阪の譲渡会に参加することになった時、今枝さん夫妻はでんちゃんに会ってみることにしたという。

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