ひたちくんは、団地の路上で、ほとんど死にかけているところを保護された。なんとか生き延びてトライアル先が決まったが、戻ってくることになった。
団地内の路上にたたずんでいた子猫たち
大阪府にある団地内の路上に3匹の子猫がいた。2017年7月、保護主さんが近づいてみると、真夏の炎天下、1匹の子猫は既に息絶えていた。残る2匹もガリガリにやせ細っていて、母猫の姿は見当たらなかったという。
保護主さんが2匹の子猫を連れ帰り、ミルクを飲ませると、勢いよくゴクゴク飲み干し、生きる力を感じさせた。生後1~2週間。お腹の中にはコクシジウムという寄生虫が、獣医師も驚くほどたくさん寄生していて、悲惨な状態だった。
その後、なんとかコクシジウムを駆除したのも束の間、今度は真菌に侵されて、ハゲができてしまった。
台風の中、車を走らせて
大阪府に住む千田さんは、エイベットが運営している“ずっとのおうち”のホームページでハチワレの子猫を見て、「可愛いな」と思っていたが、トライアル先が決まったので里親の募集は打ち切られていた。
「残念だったのですが、トライアル先のお子さんに猫アレルギーが出たため、再び募集がかかったんです。すぐに応募して会いに行きました」
千田さんは、ハチワレの子猫に会いたいという一心で、台風で大荒れの天気だったにも関わらず、保護主さん宅まで車を走らせた。実際に会ってみると、真菌でハゲができていたが、真ん丸の目が可愛くて「この子しかいない!」と思ったという。
天真爛漫な子猫・ひたちくん
10月に千田さん宅に来た子猫は、「ひたちくん」と名付けられた。
ひたちくんを預かって育てていたあさこさんは、子猫の社会化が得意で、「あさこ幼稚園」出身の子は、里親さんにも人気がある。ひたちくんも「あさこ幼稚園」出身なのだが、千田家に来ても全く物怖じすることがなく、あちらこちら探検したり、ひざの上に乗ってきたり、おやつを食べたりした。あっという間に千田家になじんだひたちくん。
「いまでは、ひたちの名付け親でもある娘が“私の猫”だと言って、毎日ひたちと一緒に寝ています」