晩婚や非婚が増えている日本社会で出会いのイベント「街コン」人気が高まっている。その実態を探った。
GW期間中に都内で「クラフトビール新酒解禁祭りコン」が行われた。年齢層が20~45歳と最も幅広い日を取材。男女30人が小グループに分かれ、3度の席替えを経てフリータイムへ。最初は硬い表情も酔いと共にほぐれて会話も弾む。気の合った人はライン交換などで今後につなげた。
参加者の声を聞いた。「この2年間で6~7回参加。仮に出会いがなくても、同性の友だちができる」(31歳女性)。「10数回参加。まだ相手はいませんが男女共に飲み友だちになれる」(30代後半男性)。「3回目。趣味の合う相手が見つかれば」(40歳女性)。いずれも自然体だ。趣味を共有するパートナーや友人を求めて参加する人も少なくない。
企画した「リンクバル」の広報担当・出来千春さんは「草食系男子が増えているといわれますが、女性の方が積極的で聞き上手。一方で、男性は1人の方が多いのに対し、女性は2~3人で来られる傾向にある。個人的な意見ですが、1人で参加する方がいいと思います。同性の友人が一緒だと気になる人がいても気を遣ってしまう」と指摘。そんなケースを考慮した「おひとり様コン」もある。
同社では起業翌年の12年は1500件だった街コンの数が17年には10万件と急成長。参加者数も16年が約70万人、17年は約100万人。無料登録できる会員は130万人を突破した。年代は25~35歳の男女が多い。「料理」「ウォーキング」「猫カフェ」「映画」といった趣味コンから、「お洗濯コン」「廃校deナゾトキコン」といった変わり種まで細分化。アニメの趣味コンで出会って結婚した20代夫婦は「いろいろな人とつながりを持てる」と魅力を語る。
出来さんは「マニアックなものでは、天の川が見られる“プロポーズの名所”長野県阿智村で寝転んで星を見ながら語り合う『宙(そら)コン』。マイ望遠鏡を持参した天体マニアなど参加者のキャラクターが出ます。『お洗濯コン』は男女が一緒に洗い物をします。一緒に暮らす時に『家事をする、しない』が問題になりますが、出会いが洗濯なので価値観を共有して協力し合える」と解説した。
5月半ばの日曜には六本木のディスコ「マハラジャ」で「ディスココン」が行われた。男女20人の参加者はフロアで談笑し、ディスコ曲のイントロ当てクイズなどで交流した。
ゲスト参加した元長野県知事で作家の田中康夫氏は「男の子が引っ込み思案になっている時代、ギラギラしている感じじゃなくて自然体。少人数なので、日常の延長として気が付いたら会話がうまくいったり、親しくなったり、そういう設定がいいと思う。100~200人も参加した昔のダンスパーティーより、ナチュラルな感じがします」と評した。
“ゆるやかな出会い”が求められている。