花冷えの季節も終わり、暖かくなってきました。人間にとっては過ごしやすい季節ですが、暑さや湿度に弱い犬の熱中症は、初夏でも注意が必要です。犬の熱中症対策について、「はる動物病院」(大阪)の副院長、藤原千春先生に教えていただきました。
■犬の熱中症、どんな病気なの?
--犬は、なぜ熱中症になるでしょうか。
藤原千春先生(以下、藤原)「日差しが強いところや炎天下で散歩したり、窓を閉め切った蒸し暑い部屋や車内にいたりすると、犬が熱中症になる危険が高まります。温度や湿度が高いと、体温が急激に上昇し、脳の温度も上がってしまうのです。体温調節中枢がうまく働かなくなり、体温はぐんぐん上昇してしまいます。
犬は、パンティング(開口呼吸)といって、口を開けて呼吸して体温を下げようとするのですが、あまりにも温度や湿度が高いと、体温が下がらなくなるのです。
体温(直腸温)は41~42度まで上がり、舌は鮮紅色から紫色になり、さらに進行するとショック死してしまいます」
--熱中症になりやすい犬種はいますか。
藤原「ボストン・テリアやパグ、ブルドック、ペキニーズ、シーズーなどの短頭種、心臓や腎臓に持病がある犬、太っている犬は、特に注意が必要です」
■万が一、熱中症になってしまったら応急処置を!
--犬の熱中症の症状について教えていただけますか。
藤原「大量のよだれを垂らす、ハアハアと苦しそうに呼吸をする、ぐったりして動かないなどの症状があれば、熱中症を疑いましょう。
こうした症状が現れると、すぐにでも動物病院に連れて行きたくなりますが、動物病院に到着するまでに時間が経ってしまうので、悪化を防ぐために、先に応急処置を行います。その後、速やかに動物病院に連れて行きましょう」