救いようない「クズ」演じたい 26年ぶりの演劇に挑む、車いす男性の思い

広畑 千春 広畑 千春
圓井寿夫さんとオリジナル劇「ザ・こまったちゃん」を演じるメンバーら
圓井寿夫さんとオリジナル劇「ザ・こまったちゃん」を演じるメンバーら

 地域の劇団関係者に誘われ、即興劇のワークショップに参加。演劇に触れるのは約20年ぶりだったが「やっぱり面白かった」。講座に通い、子どもや障害のある人たち向けのレッスンも企画した。そんな中、神戸を拠点にする劇団「ヴァダー」の脚本・演出担当で、神戸・三宮で演劇バー「エッグプラント」の浜谷晶子さんから1周年記念イベントへの出演を打診された。

 脚本はオリジナルで、出番は1時間のうち10分程度。「感動を呼ぶ障害者の役だけは嫌」と言った圓井さんに用意されたのは、瞬間湯沸かし器のように暴れる、主人公のクズ兄貴の役だった。面食らったが、「これこそ、自分がやりたかった役」と喜ぶ。ただ、練習ではダメ出しの連続で「昔の経験なんて何も通じない。これだけ熱くなるのは学院時代以来」。両手を手すりから離して暴れられるよう腹筋と背筋を鍛え、車いすで動きが限られる分、表情や声の抑揚、「背中」での表現を探す。「車いすだから…とは言われたくない。気を遣われるのも嫌。車いすでもまともに演劇やってるやつおるやん、と思ってもらえたら」と圓井さん。「できないことは確かに増えたけれど、得たものも増えた。大ちゃんと同じ舞台に立てるまでレベルを上げ、いずれは自分でプロデュースもしたい」と夢を語る。

 舞台は4月20日午後4時、同6時、同8時の3回公演。ドリンク付き2500円。エッグプラントTEL078-230-1223

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