「メチャクチャ痛かった…」ステージ4肺がん患者が語るオプジーボ体験

佐藤 利幸 佐藤 利幸

 治す方法は何かあるはずだ-そう思った小西さんは仕事柄出入りのあった岡山大学病院にセカンドオピニオンを求めた。まず担当医師から勧められたのが抗がん剤治療だった。同年7月にシスプラチンという抗がん剤を投与した。めまい、食欲不振、倦怠感、脱毛…の副作用に苦しんだ。その結果は…腫瘍は小さくなるどころか大きくなっていた。次に勧められたのが肺がんにも保険が適用になって間もないオプジーボである。

 -最初にオプジーボを投与されたとき、どんな感じでした?

 「静脈から点滴注射で1回分量200mgを1時間かけて体に入れました。しばらくすると、体が痛くなって…体といっても全体ではなく、腫瘍があると聞いていた付近がギュッと締め付けられるような痛みでした。もう…メチャクチャ痛かったです。我慢ができなかったほどです。その痛みは7時間たったぐらいで収まりましたが、あとで考えたら、そのとき免疫細胞ががんと戦っていたのかな、と思いました」

(白血球の中のリンパ球の1つであるT細胞は異物を排除する役目を担っている。ただしいつも同じ状態ではなく、アクセルがかかったり、ブレーキがかかったりしている。オプジーボを投与することで、ブレーキを取り除き、T細胞をアクセルがかかった状態にする)

 -オプジーボの効果はどうでした?

 「11月にCT検査を受けたのですが、転移した膵尾部、脊柱起立筋内の腫瘍は“ほぼ消失”、他の部分も“著しく縮小”か“縮小”と診断されました」

 -オプジーボ投与は1度だけ?

 「いえ、2年たった今も2~3週間に1度のペースで続けています。岡大(岡山大学病院)を信頼しているので、今も大阪から通っています。腫瘍は6センチほどあったものが1センチ未満に。完全に消えてはいませんが、小さなまま、おとなしくしています」

 -副作用は?

 「最初に打ったときだけ痛かったのですが、2度目からはありません。最近、類天疱瘡(るいてんぽうそう)にかかったりはしていますが…これが副作用なのかどうかは分かりません」

 -高額なオプジーボ、さらに大阪から岡山への通院で経済的な負担は?

 「確かに負担は大きいです。ただ、高額医療制度があるのでそれを利用しています。病院代は高いときで月8万円ほど。保険適用でなかったら…年に数千万円もかかると思うと…ゾッとしますね」

 小西さんは、現在も医療メーカーに務めている。肺がんになる前と比べて仕事量をセーブはしているが、ここまで回復できたことに「奇跡だと思っています」と言う。

たにみつ内科・谷光利昭院長

この患者さんのケースは、今まで手の施しようがなかった遠隔転移の肺がんに対しての著効例です。ただし、この薬は限られた7種類のがんにのみ適応とされおり、現時点で効果は2~3割程度とされています。この薬の開発を契機として更なる新薬の開発に期待が持たれています。

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