-『大統領失踪』はすでに大型テレビドラマ化が決定していらっしゃると帯にありました。放送局などの詳細は決まっていますか。
「Showtime(※)というネットワークです。ただ、まだ具体的なキャストなどは決まっていないようです」※米国の主要ケーブルテレビ局の一つ。CIAの女性作戦担当官がテロリズムと戦うドラマ「HOMELAND」などヒット作を多数放送。
-本書は全米でもミリオンセラーとなり、日本での売れ行きも好調です。元大統領が書いたという話題性はもちろんですが、他にもここが読みどころです、というポイントがあったら教えてください。
「単純に面白いというのが、アメリカでの主だった評判ですね。共著者のパタースンは世界で3億部以上を売り上げている世界一のエンタテインメント作家です。また、それ以外でも、サイバーセキュリティや民主主義といった現代的なテーマかつ『みんなで語りやすい』テーマが含まれているのもうけている理由かと思います」
-以前から感じていましたが、「エンド・オブ・キングダム」、「エアフォース・ワン」、「インデペンデンス・デイ」など米国映画では大統領がヒーローとして描かれるものが少なくありません。本書でもダンカン大統領は、天才ハッカー青年オーギーと組んで、まるで007シリーズのボンドとQのような抜群のコンビネーションでテロ組織と戦い抜く。一国の首相が自ら先陣を切って果敢に敵と戦う、という物語の構図は他国ではあまり見られません。例えば大ヒットした邦画「シン・ゴジラ」において前線で指揮を執りゴジラと対峙するのは、長谷川博己演じる巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)事務局長、矢口蘭堂であり、故大杉漣演じる日本国首相ではない。米国における“大統領”という職業の人気の理由はどこにあると思われますか。
「アメリカの大統領はそもそも『戦争の英雄』の体現者なんだと思います。国を守り、勝利に導く存在ですね。国家元首にして、軍の最高責任者ですから、人気というか人望がないと決してやっていけません。実際、かつては軍人として戦争を経験した人物がほとんどでした。ハリウッド映画でも元空軍パイロット出身の大統領が自ら戦闘機を操縦して宇宙人と戦ったりするのも、そういう背景からです。日本の首相だと現実味がありませんからね。『大統領失踪』の主人公ダンカン大統領もイラク戦争の経験者という設定です。ただ、最近はクリントンもオバマもトランプも従軍経験がないので、その点、かなりイメージが変わってきたのかもしれません」