アルフィーの“嘆きの母音”~86歳元記者が27年ぶり武道館で目撃した「おちゃらけ精神」

北村 泰介 北村 泰介

 「80年代、会場には10代から20代前半の若いファンしかいなかった。それが今では幅が広がりました」と島氏。確かに観客はリアルタイム世代の50代以上が圧倒的だが、そのジュニア世代の20~30代も少なくなかった。

 坂崎は「子どもが大きくなって落ち着き、久しぶり行こうかなという復活組がいる一方、毎回、初めて来るという人がいる。バランスが取れてきた」と底辺拡大を実感。島氏は「ファンを大切にするところが変わらないからです」と指摘した。

 変わらない部分の一つが「おちゃらけ」だと島氏はいう。本編後のアンコールが69分にも及ぶ実質的な第二部になったのだが、その前半で和服姿のメンバーは「昭和三兄弟」を名乗って「星降る街角」などのムード歌謡を熱唱。さらに、クリスタルキングの「大都会」の長いイントロから高見沢が歌うと見せかけて「あ~、やめとくわ」の一言で、坂崎と桜井がずっこけた。

 また、桜井が「ザ・アルフィーの~」と自己紹介した際、高見沢が「中学の英語で習っただろう。母音の前は“ザ”じゃなくて“ジ”」と突っ込むと、桜井は「母音(ボイン)は赤ちゃんのためにあるんやで~」と、今年亡くなった月亭可朝さんの「嘆きのボイン」を歌いだした。島氏は「昔からコミックバンド的な要素で笑わせてくれた。彼らのサービス精神」と絶賛した。

 長年、コントでボケ役に徹する桜井は「平成も終わりますが、昭和を残したい」と意欲的。高見沢は「同じことの繰り返しでドラマがある。続けていくことの大切さが分かった」と明かす。島氏は「アルフィー精神が伝わってきました」と感無量の表情。メンバーから「来年で結成45年。体にはお互いに気を付けて頑張りましょう」とエールを送られた。

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