大台に乗ると人は何を求めるのか~50周年の岡林信康は「過去の総括と原点確認」

北村 泰介 北村 泰介
50周年の大台に乗った岡林信康。自身の半世紀を語った=東京・EXシアター六本木(撮影・岩本健吾)
50周年の大台に乗った岡林信康。自身の半世紀を語った=東京・EXシアター六本木(撮影・岩本健吾)

 続く「その2」は「ルーツの確認」だ。

 岡林は自身の変節について、父と祖父から受け継いだ遺伝子を理由に挙げた。新潟の農村から40歳を過ぎて牧師となって滋賀に教会を建てた父。淡路島から大阪に出て呉服屋として成功しながら、結核治療のためのドイツ式太陽光線治療器を開発して療養所を作った祖父。今まで築いたものを破壊して全く新しいものに取り組む「血」を自身にも認めた。

 「その3」は「かつての盟友や亡き恩人の遺族から思いが届けられる」ということか。

 自虐的に語り尽くした50年史だが、細野晴臣、大瀧詠一、鈴木茂、松本隆の4人が在籍した「はっぴいえんど」と美空をパートナーにしたボーダーレスな実績は唯一無二。ロビーには細野、ひばりプロダクションの加藤和也社長から届いた花が並んで飾られていた。

 「50年間、いろんなジャンルに首を突っ込み、音楽表現をぶっ壊し続ける人生だった」。大台に乗ると、人は人生を語りたくなる。

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