▼5月7日・夜中、急に大泣き
祖母が夜中、急に大泣きして、家を飛び出そうとするころを筆者が説得してなだめるシーンを撮影。一番気に入っていたお泊まりデイサービスの職員と言い合いになったことを思い出したためだった。
祖母「今日行ったかって白い目で見られて、もう私死にたいわ。外行ってどっか飛びこんでくるわ」
筆者「大丈夫、大丈夫。俺がついてるし、なんかあったら言うたるからな、今日は寝るんやで」
祖母「こんなこと言いたくなくて黙ってようと思ったけど、今日のことは絶対私が悪いと思ってる、近辺の人みんなそう思ってるやろ」
筆者「そんなことない、そんなことない。大丈夫やから、ゆっくり寝るんやで、ばあちゃん」
認知症という病が引き起こす被害妄想や徘徊が起きた状態だが、手で肩をゆすりボディータッチしながら、「大丈夫、大丈夫、そばにいるから」とひたすら傾聴していると、だんだん祖母の泣き声がおさまっていく様子を伝えられた。
▼8月26日・服とカバンを間違える
祖母がデイサービスから帰宅後、袋を服と間違え頭にかぶったシーンを撮影。
祖母「(笑いながら)これはね、ここが袖やろ」
筆者「ばあちゃんそれは袋やで」
祖母「ハハハ、そうかいな、私、頭がどうかしてもうたわ」
筆者「(笑いながら)ばあちゃん、間違えは誰でもある、ある。じゃあ服着よか」
やりとりの中で、祖母の様子を筆者が笑いとばしたのには理由がある。一人の人間として自然に接することが、本人に事実を受け止めさせながら安心感を与えられると思うからだ。「認知症が進行した時の問題行動への対処方法」として役立つ情報を発信できたのではと感じている。
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生配信の動画を見てくれている人は、当初は50人くらいだったが、最近は200人くらい。生配信が終わったあとも、動画によっては800回再生されている。
カメラを向けられている祖母は、何をどこまで理解できているのか、よくわかっていないかもしれない。生配信は祖母本人にとって恥ずかしいことかもしれないが、症状が進んだ今となっては、撮影することの許可を取ることもままならない。本当に良いのか、葛藤がないわけではない。
しかし、ほかの介護中の方から、筆者の対応について「優しい声かけや、否定しない言葉がけができています」というコメントをもらったり、祖母の様子に「服を着たり、帽子をかぶる動作はしっかり認識していますよ」といったアドバイスをもらったりすることもある。ひとつひとつが日々の介護を応援してくれているように感じる。
また、「在宅での介護の参考にしたい」「介護の相談相手がおらず悩んでいたが、動画を見て解消された」との声も。特に、在宅介護のリアルな様子を紹介していることもあり、「在宅か施設かを考えるいい機会になった」との意見をいただいたこともあった。生配信の意義を高めていくためにも、今後は介護経験中の方々と双方向で意見交換ができるような配信ができないかとも考えている。
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生配信された動画は、こちらからご覧いただけます:https://www.pscp.tv/torata_t/1ypKdOPemNrxW