私の医院には経鼻内視鏡は置いてありません。理由は、鎮静剤を使いますので、経鼻内視鏡よりも苦しくないからです。また、取らないといけないポリープがあった際には、そのまま切除をして縫合する処置をしますので、経鼻内視鏡は施行していません。鎮静剤を使うことにより、今まで敬遠していた検査を素直に受け入れる気持ちになる人がほとんどです。「こんなに楽に出来るなら最初からこの方法でしてほしかった」。このような感想をよく聞きます。
「どうして大病院ではしてくれないの?」とよく質問されます。おそらく…手間暇がかかること、鎮静から覚める際のベッド等のスペースが取れないこと、胃カメラの際の介助の人数も増えること、検査1件の時間が長くなることなどが、主な理由だと思われます。鎮静剤を使用した上での胃カメラを経験してしまうと、いまだに多くの病院で鎮静剤を使わずに検査をしている現状を考えた時に不思議な感覚がありますが、それぞれの医院での事情もありますから一概には言えないです。
沈静下の胃カメラの利点ばかりを書いてきましたが、欠点もあるんです。当日に自分で運転する乗り物に乗れないことと、逆行性の健忘があることです。当日は絶対に、乗り物を運転されないようにお願いします。死亡事故もあるようですから…。
胃がんによる死亡率は年々減少していますが、早期発見、早期治療のおかげです。胃がんといっても早期に見つかれば、内視鏡のみでの治療が可能です。私も胃カメラを受ける前は、いつも緊張と不安で一杯ですが、色々な意味で臆することなく検査に臨んで頂きたいものです。