毎晩、見知らぬ女性が部屋に…ある男性患者の訴え

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
病院に来る患者の症例はさまざまです
病院に来る患者の症例はさまざまです

 アルツハイマー型認知症は、物忘れがひどくなり、自分のものを盗られた妄想などの症状が出現します。MRI(磁気共鳴画像)で脳の海馬という部分の萎縮が認められるのが特徴的です。脳血管障害によっておこる認知症は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血によって引き起こされます。物忘れの症状は軽いのですが、些細なことで泣いたり、笑ったりする症状を認めます。

 レビー小体型の認知症では、先ほどのように、見知らぬ人、虫、小動物など具体的で臨場感のあふれる幻視がよく見られます。前頭側頭型認知症では、人格変化や行動異常が目立ち、堂々と万引きをするなどの反社会的行動や、道徳観の低下を認めます。認知症いっても、一般的によくイメージされる物忘れだけではなく様々な症状があるんです。

 現代医学でも精神構造の解明はまだまだ困難です。これから、更なる研究のもとに劇的に改善する治療薬が生まれることに期待したいです。これらの病気が昔から存在していたとすれば、それは病気としてではなく、何か別の物として扱われていた可能性があります。そう考えると非常に怖いものを感じます。日常診療にあたっていると、教科書でしか見たことがない病気はたくさん存在しますし、当然のことですが、日々の勉強が大切であると思い知らされます。

 今回紹介したのは、一部の症状であり、診断補助としてMRIや脳血流の検査などを施行して専門的に診断します。身近な人で似たような症状の人がおられましたら、専門の先生にご相談ください。

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