0-157などによる食中毒…下痢止めを飲み続けることは危ない

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
苦しくても…下痢止めを自己判断で服用し続けるのは危険なケースも
苦しくても…下痢止めを自己判断で服用し続けるのは危険なケースも

 潜伏期は3~5日間で5歳以下の子供さんに多く発症します。O-157が、体内に入ったからと言って必ず発症するわけではなく、大人などで免疫能力が強い場合には、無症状のことも多々あるんです。外国などで現地の人が平気でも、日本人が同じものを食べたら、お腹を壊すようなものです。要は、個人の免疫能力(細菌等に抵抗する力)にかかってくるのです。

 O-157が更に厄介なのは、体内で毒素を出すことです。この毒素が腎臓に悪さをして、おしっこが出なくなったり、血尿を出したり、腎不全から死に至らしめるケースがあるのです。そこで重要なことがあります。以前にも書いたことがありますが、下痢止めを飲まないので欲しいのです。

 死に至った患者さんのケースで、下痢止めを服用していたという話が多いのです。O-157のように体内に入ってから別の毒素を出す細菌は特に要注意です。下痢として体外に排出されずに、O-157が長期間にわたって残存するために、細菌から毒素が排出され続けます。そのことにより、腎臓が痛めつけられて、死に至ってしまった可能性も否定できません。

 下痢、嘔吐(おうと)は苦しいのですが、それには意味があります。症状を抑える薬だけを飲むことは、場合によって、とても危険です。非常事態の場合に、一度くらいの内服であれば大きな問題は起きないかも知れませんが、自分の判断で下痢止めを飲み続けることは、危険な行動であることを分かって頂きたいのです。

 もう食中毒による痛ましい死亡記事は見たくはありません。さまざまな原因はあるとは思いますが、くれぐれも“自己判断”で服用を続けることはお控えください。

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