認知症の祖母が寝たきりから復活 実感した医者や病院の選び方の大切さ

祖母の車いすを押す
祖母の車いすを押す

 すると、主治医は筆者に「お気持ち分かります、薬を抜いて様子みましょう。薬を使用する場合は連絡しますね」と笑顔で優しく丁寧に説明してくれました。祖母がADLを維持するのにベストな治療方法を選択してくれ、家族の意向も最大限に汲み取ってくれる医者だと思い、入院の手続きをしました。そして、筆者が週1~2回面会へ行くたびに祖母はみるみる元気になっていきます。

 カロリー維持のために食後のデザートとして毎食出ていたハイカロリーゼリーが食事量の増加とともになくなり、話すことや笑顔も格段に増えました。この病院は主治医だけでなく病院の看護師や介護士の対応も感心の連続です。例えば、祖母が突然泣く時には看護師や介護士が「よしよし」と全身で抱きしめたりします。また、部屋から風呂まで歩かせたり、食事を自力で摂取させたりする時もあります。主治医、看護師、介護士など端々に祖母のADLを維持しようというプロ意識を感じました。

 とはいえ、老健と精神病院の急性期病棟は力を入れている部分が異なり、単純に比較はできません。老健は介護施設で、病院とは違います。施設により若干変わりますが、公的な施設で他の施設より月々の利用料が安い分、職員の人数が限られ、ハイレベルなケアや食事を求めるのは難しくなります。ただ、専門の理学療法士や作業療法士による1日20分週3回ほどリハビリがあったり、病院が併設され診察代が月々の利用料に含まれたりなどのメリットもあります。一方、精神病院の急性期病棟は施設にもよるでしょうが、月々の利用料が老健に比べ高いです。利用者数に対する看護士や介護士の人数も充実しており、ケアに力を入れられたり、バリエーションが豊富な食事が提供されたり、レクリエーションも活発です。ただメリットばかりではなく、精神病を抱えたさまざまな患者がいるため、監視体制下の中、症状によっては身体拘束があったり、許可なく外出できなかったりなど、閉鎖的な空間なことは否めません。

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