お彼岸に墓参りするのはなぜ?まもなく今年も「春分の日」

お彼岸にお墓参りする理由とは?(studiolaut/stock.adobe.com)
お彼岸にお墓参りする理由とは?(studiolaut/stock.adobe.com)

 3月21日は「春分の日」だ。国民の祝日の一つで、自然をたたえ、生物をいつくしむ日として制定された。昔から「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、本格的な春の到来を告げる日でもある。また、当日と前後3日を合わせた7日間を「彼岸」と言い、最初の日を「彼岸の入り」最終日を「彼岸明け」と呼ぶ。では、なぜ日本人は「お彼岸」に墓参りをするのだろうか。

 春分の日(または秋分の日)には、ほぼ真東から出た太陽が真西に沈む。仏教では西方の遥か彼方に「極楽浄土」が存在するとされることから、同日に仏事をするようになったのだという。

 なお「彼岸」とは仏教用語で「向こう岸」と言う意味。一切の悩みを捨て去って、悟りの境地に達することだ。ちなみに、生死の苦しみに迷う現世のことを「此岸(しがん)」と呼ぶ。こうした仏教思想に、日本古来の祖先信仰が合わさって、お彼岸行事が生まれたという説が有力だ。

 彼岸はサンスクリット語の「波羅蜜多」(はらみつ)の訳でもある。生死を超越できない人間界に対し、それを解脱して悟りを開いた涅槃(ねはん)の境地。某寺院の住職も、春分の日について「太陽が、真東から真西に沈むので、落日を通して、西方の極楽浄土と交わることができる」と教えてくれた。

 余談となるが、同日が国民の祝日となったのは、現行の祝日法が公布・施行された1948年。前年までも「春季皇霊祭」として、国家の祝日であった。この日は宮中の降霊殿(こうれいでん)で天皇が歴代天皇の御霊(みたま)を親しく祀る祭儀が執り行われていたそうだ。

 また、彼岸と言えば「おはぎ」「ぼたもち」を思い浮かべる人も多いだろう。「ぼたもち」は漢字で「牡丹餅」と書く。見ての通り「牡丹の花」から命名されており、秋分の日の「おはぎ」は「萩の花」から名付けられたものだ。

 知っての通り「ぼたもち」には、さまざまな呼び方がある。一例を挙げれば、秋田では「なべしり餅」、加賀や関西では「かいもち」、下野、越前、越後では「餅のめし」などなど。狭い日本でも、地方によって呼び方が違うのは実に興味深い。

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