柴犬を飼い切れない理由の一つに“こんなに毛が抜けると思わなかった”というのもあるそうです。柴犬はダブルコートと呼ばれる被毛構造。皮膚を守るオーバーコートと体温調節するアンダーコートがあり、換毛期にはアンダーコートがごっそり抜けます。それ以外の季節も抜け毛は多いと言えるでしょう。でもそれは、柴犬という犬種の特徴であって欠点ではありません。犬を飼う前にほんの少し知識を持っていれば、不幸な犬を増やさずにすむのです。
奥谷さん「柴犬人気の高いアメリカにも柴犬専門のドッグレスキュー団体がいくつかありますが、飼育放棄の理由は日本とあまり変わらないようです。柴犬に限らず、動物を迎える際は、家族構成や生活スタイルに合うのはどの動物か、犬ならばどの犬種か、しっかり考えてほしい。“かわいかったから”という衝動買いは厳禁です。ご高齢の方が柴犬を好まれる傾向もあるようですが、柴犬はある程度の運動量が必要ですし、老犬になると認知症になる可能性もある。自分の今の年齢から飼い始めて、将来、介護が必要になったとき、きちんと世話ができるのか、自分の身に何かあった場合の受け入れ先など、いろいろな可能性を十分に考えた上で家族として迎えていただきたいですね。忠誠心は強いけれど、飼い主以外になつかないわけではありませんし、フレンドリーな柴犬もたくさんいます。ヒトがきちんと導いていい関係を築ければ、きっと最高の家族になってくれますよ」
柴犬の飼育放棄が多いのは、決して柴犬の責任ではありません。ペットを飼うということ、もう一度、考えてみませんか。