市街地では、ほぼ電気自動車として走行
シーライオン6には、BYDのプラグインハイブリッドシステム「DM-i(デュアルモード・インテリジェンス)」を搭載する。エンジンは主に発電を担い、その電力と外部充電した電力を使って、基本的にはモーターで走行する。充電した電力を使い切った後はシリーズハイブリッドとして走行し、走行状況によってはエンジン直結モードも使用する。
今回試乗したのは前輪駆動(FF)モデルだ。モーター最高出力は145kW(約197ps)、最大トルクは300N・mを発生する。駆動用バッテリーには、BYDがPHEV向けに開発したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用し、容量は18.3kWh。EV走行距離(WLTCモード)は100kmとなる。0-100km/h加速は8.5秒で、スペック上は突出した数値ではない。
まずは市街地を走行した。車両重量は1940kgあるものの、走り出しは驚くほど軽快だ。モーター駆動らしくスムーズに加速し、制限速度までストレスなく到達する。最大トルクは300N・mだが、体感的にはスペック以上の力強さを感じた。
約30kmにわたって市街地や郊外路を走行したが、その間エンジンは一度も始動しなかった。終始モーターだけで走行し、EVらしい静かな走りを楽しめる。同じ条件で比較したわけではないため単純比較はできないものの、国産PHEVよりもEV走行できる範囲が広い印象を受けた。もちろん、EV走行中はエンジンが停止しているため、車内の静粛性も非常に高い。
BYDによると、バッテリー残量が25%以上あり、アクセル開度が85%以下であれば、基本的にエンジンは始動せずEVとして走行するという。また、バッテリー残量が十分な場合は、0〜160km/hまでEV走行を維持できるとしている。実際に試すことはできなかったが、この速度域までEV走行を維持できるPHEVは珍しい。
一方、高速道路の合流では、あえてアクセルを深く踏み込み、エンジンを始動させてみた。それまで高い静粛性を保っていたこともあり、エンジン始動時の音は想像以上に存在感があった。ただし、これはアクセルを全開に近い状態まで踏み込んだ結果であり、通常のシリーズハイブリッド走行ではエンジン音が気になる場面はほとんどなかった。
PHEV専用に開発された1.5Lアトキンソンサイクルエンジンは、熱効率43.04%という世界トップレベルの性能を実現し、燃費性能の向上に貢献している。圧縮比は15.5と高いものの、使用燃料はレギュラーガソリンだ。輸入車ではハイオク仕様が多いだけに、維持費を抑えられる点は魅力といえる。
シーライオン6のEV走行距離は100km(WLTCモード)。市街地ではエンジンが始動する場面が少ないため、通勤や送迎、買い物といった日常的な用途であれば、ほぼEVとして使用できる。ガソリンの消費を大幅に抑えられるため、経済性の高さも大きな魅力だ。
なお、シーライオン6にはAWDモデルも設定される。前後にモーターを搭載し、最高出力は前150kW・後150kW、最大トルクは前300N・m・後340N・mを発生。0-100km/h加速は5.9秒と、スポーツSUVに迫る動力性能を実現している。エンジンは1.5Lターボへ変更され、EV走行距離は90km(WLTCモード)となる。
穏やかな乗り心地とハンドリング
スポーティなデザインとは対照的に、シーライオン6の乗り心地はしっとりとした快適志向だ。サスペンションはやや柔らかめにセッティングされており、乗り心地を重視した味付けとなっている。そのため、スポーティな走りを積極的に楽しむタイプではない。路面の凹凸が連続する場面ではタイヤからのゴツゴツとした感触が伝わるものの、不快に感じるほどではなかった。
ハンドリングも同様に穏やかな印象だ。ステアリング操作に対する応答性は過度に鋭くなく、落ち着いたセッティングとなっている。試乗した前輪駆動(FF)モデルは、フロントに重量物や高出力モーターを搭載していることもあり、後輪駆動車のようにアクセルを使って積極的に車体の向きを変えていく感覚は薄い。運転を楽しむというより、安定性や扱いやすさを重視したハンドリングといえる。
一方で、AWDモデルには高出力モーターを後輪にも搭載しているだけに、「後輪駆動モデルがあれば、さらにスポーティな走りが楽しめたのでは」と感じた。
とはいえ、カーブでは車体のロールが抑えられ、フラットな姿勢を維持する。そのため、乗員の体が大きく左右へ振られることは少なく、長距離でも快適に移動できる印象だった。