「その街で暮らす人が、どんな時間を過ごしているのか」――観光名所の数や知名度だけでは測れない、街の日常的な魅力にスポットを当てたランキング「The World's Coolest Neighbourhoods(世界で最もクールな街)」の2026年版をORIGINAL Inc.(東京都渋谷区)が発表しました。
同社が運営するシティガイド『タイムアウト』が毎年実施しているこのランキング、2026年は26カ国・地域から40エリアが選出。その中で日本からは、大阪の「北加賀屋」が6位、東京の「高円寺」が8位にランクイン。日本のエリアが上位に入るのは2年連続で、2025年版では東京・神保町が1位に選ばれており、日本の街が世界から続けて注目を集めています。
この調査は、同ガイドの世界各都市のローカルエディター・専門家が、自分が暮らし働く街の知見をもとに候補を推薦。タイムアウトの編集者によるパネルが評価し、最終順位を決定したといいます。
なお、評価基準は、「飲食」「ナイトライフ」「文化」「ユニークな地元ビジネス」「住みやすさ」「コミュニティーの結束」(公式発表では「これらを含む複数の要素」と表記)としています。
その結果、世界で最もクールな街2026年版(The World's Coolest Neighbourhoods 2026)のトップ10は以下の通りとなりました。
1位:チョンノサムガ(鍾路3街)/韓国・ソウル
2位:ロセアン(L'Ocean)/モロッコ・ラバト
3位:ネオス・コスモス/ギリシャ・アテネ
4位:チャイナタウン/アメリカ・ロサンゼルス
5位:ゴヴァンヒル/イギリス・グラスゴー
6位:北加賀屋/日本・大阪
7位:チャピネロ・アルト/コロンビア・ボゴタ
8位:高円寺/日本・東京
9位:ダウンタウン/カナダ・セントキャサリンズ
10位:エスクイリーノ/イタリア・ローマ
大阪・北加賀屋 造船の街からアートの街へ
日本勢で最も上位に入った大阪府の「北加賀屋」(大阪市住之江区)は、20世紀初頭から1970年代まで、木津川河口の造船拠点として大いに栄えたエリア。しかし、時代とともにその姿を変え、この10年ほどで劇的な進化を遂げました。かつての工場や倉庫、空きビルが次々とリノベーションされ、今ではアーティストたちのスタジオやアートスペースとして生まれ変わっています。
街を歩けば、鮮やかなミューラルアート(壁面アート)や彫刻、ステンシルグラフィティー、さらにはイラスト入りのマンホールまでが点在し、街全体がキャンバスのよう。観光地化された場所とはひと味違う、ものづくりのDNAとカルチャーが息づくスポットです。
東京・高円寺 再開発に抗い、個性を守り続ける街
東京からランクインしたのは、新宿から数駅という便利な場所にありながら、独自の文化や雰囲気を残している街として知られている「高円寺」(東京都杉並区)。
かつては日本のパンクシーンの中心地として知られ、地域住民が長年にわたり大規模な再開発や街の均質化に反対の声を上げ、自分たちの個性を守り抜いてきた歴史があります。今回の審査でも「ユニークさ」と「コミュニティーの結束」において抜群の評価を受けました。
迷路のように入り組んだ商店街には、こだわりの古着店、レコードショップ、隠れ家的な小さなバー、ベーカリーなどが軒を連ね、訪れるたびに新しい発見があります。
同ガイドの東京版では、高円寺の街を楽しめるスポットとして、受賞歴のあるベーカリー「しげくに屋55ベーカリー」、コーヒーショップ「Walnuts Coffee」、気象の神々を祭る「気象神社」、古着店「HIGAN」、アジア各地の雑貨を扱う「未完成」、天ぷらの「天すけ」、銭湯「小杉湯」、レコードを楽しめるカフェ「SUB store Tokyo」、ライブハウス「東高円寺二万電圧」、「高円寺メタルめし」などを紹介しています。
店や施設が入れ替わりながらも、街そのものが持つ個性は受け継がれている。そこに高円寺ならではの魅力があるといえそうです。
私たちが何気なく歩いている近所の商店街や、個性的なお店が並ぶ街角にも、世界に誇れる「クール」な魅力が眠っているかもしれません。今度の休日は、少し視点を変えて、身近な街のディープな魅力を探しに出かけてみませんか。