都内でフルタイム勤務をする48歳の松本さん(仮名)の78歳の父親は、3カ月前に大腸がんと診断され、現在は月に2回、抗がん剤治療のため通院しています。最近は体力の低下が目立ち、移動や治療後の疲れから「病院に行くだけでもつらい」と口にするようになりました。
介護保険では要支援2の認定を受けていますが、これまでは特定の介護保険サービスを利用していませんでした。松本さんも仕事を調整しながら付き添ってきましたが、毎回の送迎や介助を続けることが難しくなっていました。
父親自身が通院に負担を感じ、家族による付き添いや送迎も難しくなってきたとき、どこに相談し、どのような支援を検討できるのでしょうか。
通院がつらくなったらどこに相談する?
高齢になると、病院までの移動や待ち時間などが身体的な負担となり、通院に介助が必要になる場合があります。家族が送迎や付き添いを担っている場合には、仕事との両立が難しくなることもあります。
相談するときは、本人がどの場面で負担を感じているのかを具体的に伝えることが大切です。病院までの移動が難しいのか、乗り降りや院内での移動に介助が必要なのか、家族がどの程度付き添えるのかなどを整理しておくと、必要な支援を検討しやすくなります。
松本さんは、通院先の病院に設置されているがん相談支援センターに足を運びました。ここには、医療ソーシャルワーカーや看護師などの専門職が配置されており、患者や家族の医療費、療養生活などの悩みに無料で対応しています。松本さんは、父親の体力低下とそれによる通院時の介助負担を伝えました。医療ソーシャルワーカーが地域包括支援センターと連携し、父親の状態や利用できる介護保険サービスについて検討することになりました。
通院手段を確保し、家族の負担も軽減
父親は以前より体力が低下し、移動にも介助が必要になっていたため、要介護認定の区分変更を申請しました。その結果、要介護1と認定され、担当のケアマネジャーと相談しながら、利用できる介護保険サービスを検討することになりました。松本さんは、父親とも相談した結果、通院時には「通院等乗降介助」を利用することにしました。通院等乗降介助は、訪問介護員が通院時の乗車・降車や、その前後に必要な介助を行うサービスです。
松本さんが毎回送迎を担う必要は減り、通院付き添いの負担を軽くすることができました。
通院の介助も、回数を重ねることで本人や家族の負担になることがあります。家族だけで抱え込まず、医療や介護の専門職に相談し、本人の状態に合った通院方法や支援を検討することが大切です。
【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。