52歳の会社員・森下みほさん(仮名)は、夫と高校生の娘と暮らしています。1人暮らしの父親は、2年前に自宅で転倒して大腿骨を骨折し、要介護2の認定を受けました。歩行に不安が残り、1人暮らしが難しくなったため、みほさんが父親を自宅に引き取りました。
現在、父親は週3回デイサービスに通っていますが、デイサービスからの連絡や通院の付き添い、ケアマネジャーとの調整など負担がみほさんに集中しています。仕事中の電話対応や通院による休みも増え、「もう1人では回らない」と不安を感じています。
デイサービスを利用していても介護の負担が減らない場合、家族の悩みをケアマネジャーに相談してよいのでしょうか。
介護の負担で「もう回らない」と感じたらケアマネジャーに相談
介護サービスを利用していても、日々の連絡や付き添い、日常生活の介助など、同居する家族に負担が集中する場合があります。介護の負担で「もう回らない」と感じたら、ケアマネジャーに相談しましょう。
ケアマネジャーには、介護を受ける本人の状態だけでなく、家族の負担や仕事・生活への影響も伝えます。家族が無理をして介護を続ける前提ではなく、本人の状態や生活、家族の介護負担を踏まえて、介護サービスを見直せないか一緒に考えてもらいましょう。
ケアマネジャーに伝えたい3つのこと
厚生労働省が公開している「仕事と介護の両立支援」に関するチェックリストやマニュアルでは、介護が必要な本人の状況だけでなく、家族の状況や希望、自身の働き方などをケアマネジャーに伝えることが大切だとしています。
介護の悩みをケアマネジャーに相談する前に、自分が何に困っているのかを整理しましょう。事前に相談したいことを書き出しておくと、状況を伝えやすくなります。
漠然と「介護が大変」と伝えるより、実際の負担や生活への影響を具体的に説明してください。家族が担える範囲や、現在利用している介護サービスも整理しておくと、今後の対応を検討しやすくなります。
◆具体的な困りごとを伝える
事業所との連絡、通院の付き添い、サービス利用に関する連絡や調整、日常生活の介助など、実際にどのような負担があるのかを整理しましょう。
ケアマネジャーには「自分がほとんど対応している」「通院の付き添いが負担になっている」など、誰が何を担っているのかを伝えます。困りごとを明確にすれば、必要な支援を検討しやすくなります。
◆生活への影響を伝える
介護によって仕事や生活にどのような影響が出ているのかも伝えましょう。
たとえば、「勤務中にも事業所からの連絡が入る」「月に何度も、通院の付き添いで仕事を休んでいる」「平日は夫も仕事で忙しく、家事も介護もすべて1人で抱えており、睡眠不足になっている」などです。
介護そのものの負担だけでなく、仕事との両立や睡眠、家事などにどのような支障が出ているのかを説明しましょう。
◆家族が無理なく担える範囲を整理する
自分を含め、家族が無理なく担えることと、難しいことも整理しておきましょう。
たとえば、「夫は休日なら通院に付き添える」「きょうだいは遠方に住んでいるため、日常的な介護は難しい」などです。家族それぞれの事情を共有すると、1人に負担が集中している状況をケアマネジャーに理解してもらいやすくなります。
家族の負担も踏まえて介護サービスを見直す
ケアマネジャーに介護の負担や生活への影響を伝えたら、現在の介護サービスが本人や家族の生活に合っているか確認しましょう。
たとえば、デイサービスの利用回数や利用時間を見直す、家族が休息を取れるようショートステイの利用を検討するなどの方法があります。通院の付き添いが負担になっている場合は、訪問介護による通院時の介助など、利用できる支援がないか相談することもできます。
ショートステイは、要介護者などが施設に短期間入所し、日常生活上の介護などを受けるサービスで、家族の身体的・精神的な負担を軽減することも目的の一つです。
ただし、どのようなサービスや支援が利用できるかは、本人の状態や地域、事業所などによって異なります。まずは現在の状況をケアマネジャーに伝え、本人と家族の生活に合わせてどのような方法が考えられるか相談してみましょう。
ケアマネジャーに相談しづらいときは地域包括支援センターへ
介護についてどこに相談すればよいか分からない場合は、地域包括支援センターを頼る方法もあります。地域包括支援センターでは、高齢者の介護や生活に関する幅広い相談を受け付けています。家族の介護負担や仕事との両立などの悩みを伝えると、状況に応じた支援や相談先につないでもらえる場合があります。
ケアマネジャーに相談すべきか迷う場合も、1人で抱え込まず、まずは地域包括支援センターに相談してみましょう。
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みほさんは、介護と仕事の両立が難しくなり、「もう回らない」と感じていました。そこで、事業所との連絡や通院の付き添いなど、自分が担っている介護と仕事への影響を書き出して整理しました。
さらに、家族が無理なく対応できる範囲と難しいことを確認し、ケアマネジャーに相談しました。デイサービスの利用方法やショートステイの併用など、家族の介護負担を踏まえてサービス内容を見直すことになりました。
すぐにすべての負担がなくなったわけではありませんが、みほさんは「自分1人で何とかしなければ」と抱え込まず、ケアマネジャーと相談しながら介護を続けていくことにしました。
【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。