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脳梗塞で、麻痺が残った70歳夫→訪問介護を拒否「他人を家に入れたくない」  妻「私だけではもう限界」……どうすれば?【社会福祉士が解説】

もくもくライターズ もくもくライターズ

郊外の住宅地で夫と2人で暮らす65歳の小川くみこさん(仮名)。夫は70歳で、2年前に脳梗塞を発症しました。右半身に麻痺が残り、要介護2の認定を受けています。

夫は杖や手すりを使えば室内を歩けますが、入浴と着替えには介助が必要です。トイレに間に合わないこともあり、小川さんは着替えのために何度も対応しています。担当のケアマネジャーから訪問介護の利用を勧められましたが、夫は「他人を家に入れたくない」の一点張りで、話が進みません。

小川さん自身も腰痛を抱え、通院の回数が増えてきました。友人と会う時間も少なくなり、「夫の気持ちはわかるけれど、私だけではもう限界」と感じています。しかし、夫が嫌がっている以上、無理にサービスを使わせるわけにはいかないと考え、自分が限界に近づいていることをケアマネジャーにも十分に伝えられずにいました。

本人が介護サービスを拒んでいるとき、家族は何を確認し、どこへ相談すればよいのでしょうか。

「他人を家に入れたくない」という言葉の中身を確かめる

サービスを拒む言葉は、支援そのものを否定しているように聞こえますが、その中身は人によって異なります。自宅での暮らしぶりを他人に見られることに抵抗を感じる人もいれば、家の中に立ち入られること自体が落ち着かないという人もいます。入浴や着替えのように体に触れられる場面を避けたいと考える人もいます。

どの場面で、何を避けたいと感じているのかがわかると、検討できる方法も変わります。家族が説得を重ねるだけでなく、本人がどのような言葉で抵抗感を示しているのかを整理しておくと、その後の相談に役立ちます。

ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する

本人がサービス利用に同意していない段階でも、家族が相談することはできます。担当のケアマネジャーがいる場合は、本人の意向と家族の状況をまず伝えてみましょう。

担当に伝えにくい事情がある場合や、別の視点からのアドバイスを求めたい場合には、市区町村が設置する高齢者の総合相談窓口である地域包括支援センターに相談できます。地域包括支援センターには保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員などが配置されています。

▼本人の言葉と、家族が担っている介助を両方伝える

相談の場では、本人が何をどのように避けたがっているのかを具体的に伝えます。併せて、家族がどの場面でどれだけの介助をしているのかも伝えると、状況を共有しやすくなります。

たとえば、入浴介助にどのくらい時間がかかっているのか、夜間に何回起きているのか、自分の体調や通院の状況はどうかといったように、具体的な場面や回数を伝えます。

本人の意向だけでなく、家族の負担も併せて伝えることで、双方の生活を踏まえた支援を検討しやすくなります。家族が限界に達するまで介護を抱え込む必要はありません。

▼本人が避けたい部分を外せないか、一緒に考える

介助の負担を減らす方法は、訪問介護だけではありません。自宅に人が入ること自体への抵抗が強い場合には、通所サービスなど、自宅以外で利用できる支援を検討する方法もあります。

たとえば、手すりなどの福祉用具を活用することで、本人が自分で立ち上がったり移動したりできる場面が増え、家族の介助を減らせる場合があります。入浴時に使う福祉用具や、必要に応じた住宅改修などが検討されることもあります。

介護保険では、自宅での自立した生活を支えるため、福祉用具の貸与・販売や、手すりの取り付けなどの住宅改修が給付の対象となっています。

どのような支援が適しているかは、本人の身体状況や生活環境、本人が何を避けたいと感じているのかによって異なります。「訪問介護を利用するか、利用しないか」の二択にせず、本人が受け入れやすい方法がないか、ケアマネジャーなどと一緒に考えていくことが大切です。

利用できるサービスや地域の支援体制、具体的な手続きなどについては、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに確認してください。

  ◇  ◇

小川さんは地域包括支援センターに出向き、夫が繰り返している言葉と、自分の腰痛や日々の介助の負担を伝えました。

その後、担当のケアマネジャーとも状況を共有し、夫本人から改めて話を聞くことになりました。話を重ねるうちに、夫が特に抵抗を感じているのは、入浴時に他人に体を見られることだと分かりました。

そこで、まずは入浴時の介助負担を減らす方法を検討することになりました。浴室内での立ち座りを補助する入浴用いすや手すりなどを活用し、夫が自分でできる動作を増やせないか、身体状況や浴室の環境を確認することになりました。

訪問介護については、夫は今も積極的ではありません。ただ、話を重ねる中で「入浴以外なら他人が家に入ることも考えてみる」と話すようになりました。そこで、本人が抵抗を感じにくい場面から利用できる支援がないか、引き続きケアマネジャーと検討しています。

本人が介護サービスを拒んでいる場合でも、家族だけで抱え込む必要はありません。本人が何を嫌がっているのかと、家族がどの程度の負担を抱えているのかを整理し、ケアマネジャーや地域包括支援センターに伝えることが、受け入れやすい支援を探す第一歩になります。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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