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うちの親は年金いくらもらってる? 80代母が要介護に…お金が不安 知っておきたい金額の調べ方【社会福祉士が解説】

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「母の介護が必要になったとき、お金のことが一番不安でした。でも、肝心の母の年金額を私は知らなかったんです」

そう話すのは、都内在住の山田恵子さん(仮名・52歳)です。80歳の母親が自宅で転倒し、要介護2の認定を受けることになったとき、恵子さんは初めて「介護にいくらかかるのか」を真剣に考え始めました。

介護保険サービスの利用料、おむつなどの日用品費、場合によっては施設入所の費用。調べれば調べるほど、さまざまな費用が必要になることが分かってきました。「母の年金で、どこまで賄えるのだろう」と考えたとき、恵子さんはハッとしました。母が実際に毎月いくらの年金を受け取っているのか、正確な金額を知らなかったのです。

「年金の話は、なんとなく聞きづらくて。母も『まあまあもらってるから大丈夫』としか言わなくて、具体的な金額は話題にしたことがなかったんです」

親の年金額を把握していないという状況は、決して珍しいことではありません。しかし、介護費用の計画を立てるうえで、親の年金額を知ることは最も基本的で重要なステップなのです。

なぜ年金額の確認が必要なのか

介護保険サービスを利用する場合、利用者は原則として費用の1割から3割を自己負担します。自己負担割合は本人の所得によって決まり、年金収入を含めた合計所得金額が一定額以上の場合は2割または3割、それ以下の場合は1割となります。

厚生労働省の「介護事業所・生活関連情報検索」サイトでは、介護サービス概算料金の試算ができます。例えば、要介護2の人が在宅で週2回(月8回)の訪問介護を利用する場合、1カ月の介護サービス費用はおよそ2万6960円となり、本人の所得によって、この金額の1~3割が自己負担額となります。

もし介護施設への入所を検討する場合、費用はさらに大きくなります。「介護事業所・生活関連情報」による試算では、要介護2の場合、特別養護老人ホームであれば「介護サービス費」と「居住費・食費、日常生活費など」の合算が月額約25万3930円となります。このうち「介護サービス費」の1〜3割が自己負担額となり、その他にかかる費用は全額自己負担となります。

なお、この「介護事業所・生活関連情報」の試算は、全国の利用実績の平均値を用いた概算になります。実際の費用はサービス内容や地域、所得区分、加算などで変わりますので、ケアマネジャーや事業者へお問い合わせください。

また、介護付き有料老人ホームの平均月額費用は約22.7万円です。この金額には介護サービス費の自己負担分は含まれていないため、別途、要介護度と所得に応じた自己負担分が必要になります。ただし、介護付き有料老人ホームは施設によって金額帯が幅広く、個室か相部屋か、施設の立地や設備によって大きく変動します。

これらの費用を親の年金収入で賄えるのか、不足する場合はどの程度の補填が必要なのか。それを判断するためには、まず親の年金額を正確に把握することが不可欠です。

年金額を確認する4つの方法

親の年金額を確認する方法は、いくつかあります。状況に合わせて、利用しやすい方法を選びましょう。

◆年金振込通知書・年金額改定通知書で確認する

最も手軽で確実な方法は、毎年6月に日本年金機構から送付される「年金振込通知書」や「年金額改定通知書」で確認することです。

年金は、偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)の15日に、前2カ月分がまとめて振り込まれます。振込通知書には、この2カ月分の支給額が記載されています。月額の年金額を知りたい場合は、記載されている金額を2で割ることで計算できます。

◆通帳や銀行の入金履歴で確認する

年金振込通知書が手元にない場合は、年金が振り込まれている銀行口座の通帳や、インターネットバンキングの入金履歴を確認する方法もあります。

偶数月の15日(金融機関が休業日の場合はその前営業日)に「日本年金機構(ニホンネンキンキコウ)」や「〇〇共済(〇〇キョウサイ)」名義で振り込まれている金額が、2カ月分の年金額です。これを2で割ると、月額の年金額が分かります。

ただし、通帳には振込金額のみが記載されるため、年金の種類(老齢基礎年金、老齢厚生年金など)や内訳を知りたい場合は、年金事務所や年金相談センター、ねんきんネットで確認する必要があります。

◆年金事務所や年金相談センターで照会する

より詳しい説明を聞きたい場合や、年金の種類、加入期間、今後の見込みなどについても相談したい場合は、年金事務所や街角の年金相談センターで直接照会する方法もあります。窓口では、年金の受給額だけでなく、年金の種類、加入期間、今後の見込みなどについても相談できます。予約制の窓口も多いため、事前に電話で確認しておくとスムーズです。

窓口に行く際には、運転免許証、マイナンバーカードなどの本人確認書類の他、基礎年金番号が分かるもの(年金手帳、年金証書など)を持参しましょう。また、本人が窓口に行けない場合、家族が代理で照会することも可能です。その場合は、委任状と代理人の本人確認書類が必要になります。委任状の様式は、日本年金機構のウェブサイトからダウンロードできます。

◆ねんきんネットで確認する

インターネットの操作に慣れている場合は、ねんきんネットの利用が便利です。ねんきんネットは、日本年金機構が提供するオンラインサービスで、24時間いつでも自分の年金記録や年金見込額を確認できます。

ねんきんネットを利用するには、利用登録が必要です。基礎年金番号とメールアドレスがあれば登録できます。マイナンバーカードをお持ちの場合は、マイナポータルと連携することで、ユーザIDを取得せずに利用することが可能です。登録すると、現在受け取っている年金の種類や金額、これまでの加入記録などを詳しく確認できます。

ただし、ねんきんネットの利用には、本人による登録操作が必要です。親本人の同意と協力が前提となります。

親子でお金の話をするときのポイント

年金額の確認は、親子で「お金の話」をする最初の一歩になります。しかし、「親のお金のことを聞くのは失礼ではないか」と躊躇する人も少なくありません。

大切なのは、「詮索」ではなく「一緒に考える」という姿勢です。「介護が必要になったときに、お母さんが安心して暮らせるように、今から一緒に考えておきたい」という前向きな提案として伝えることで、親も受け入れやすくなります。

特に、年金記録は極めてセンシティブな個人情報です。たとえ親子であっても、一方的な開示請求は親の尊厳を傷つける可能性があります。「親の支配権を奪うのではなく、親が安心して暮らせる環境を一緒に作るための準備」であることを、しっかりと伝えてください。

また、年金額だけでなく、預貯金の有無、加入している保険、持ち家か賃貸かといった情報も、今後の介護計画を立てるうえで重要になります。年金額の確認をきっかけに、少しずつこうした情報を共有していくことが、いざというときの備えにつながります。

これから介護に向き合う人へ

年金振込通知書で確認した結果、恵子さんの母親は、月額約12万円の年金を受給していることが分かりました。在宅での介護サービスであれば年金の範囲内で利用できる見込みが立ち、恵子さんは「具体的な金額が分かったことで、漠然とした不安が、具体的な計画に変わった」と話します。母の年金で賄える範囲を把握し、不足する部分については恵子さん自身が補填する計画を立てることができました。

介護費用の計画は、親の年金額を知ることから始まります。「うちの親の年金、実際いくらなんだろう」と思ったら、それが確認を始めるタイミングです。年金振込通知書を探す、ねんきんネットに登録する、年金事務所に相談するといった小さな一歩が、親子で安心できる介護計画への第一歩になります。

親の年金額を把握することは、親の尊厳を守りながら、現実的な介護計画を立てるための大切な準備です。早めの確認と、親子での情報共有が、いざというときの安心につながります。

【出典】
厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/
厚生労働省「特定施設入居者生活介護」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000648154.pdf
日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/index.html

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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