プロ野球・阪神タイガースなどで投手として活躍した下柳剛さんと巡る、姫路の酒蔵探訪。今回は、銘柄「奥播磨」で全国に多くのファンを持つ、1884年(明治17年)創業の「下村酒造店」です。姫路市内の酒蔵で最年少となる37歳の若き7代目下村元基社長が守るのは、創業からの家訓である「手作りに秀でる技はなし」という言葉。新しいものへ飛びつくのではなく「今あるものを追求し、深化させたい」と語る、愚直で熱い酒造りの現場に迫りました!
■明治建立の木造蔵。「おばあちゃん家みたいで落ち着くね」
杉玉が掲げられた趣のある店先。「奥播磨」と染め抜かれた暖簾をくぐると、木を基調とした温かみのある明かりの中に、清酒の瓶がずらりと並んで出迎えてくれます。下柳さんも「なんだかおばあちゃん家に来たみたいで落ち着くね」と表情を緩めます。
奥から出てきた下村社長の飾らない笑顔の奥には、酒造りへの誠実な情熱がにじみ出ています。店舗の裏側に続く蔵に足を踏み入れると、そこは明治時代に建てられ、大正時代に増築されたという歴史ある木造建築。立派な柱や梁を補強しながら大切に守られてきた空間を見上げ、下柳さんも「梁もすごくて、ずっしりとした歴史を感じるね」と感嘆の声を漏らします。
■かかる時間は通常の2倍。じっくり育てる伝統の「山廃仕込み」
木造階段を登って2階へ上がると、中型のタンクが並んでいるのが目に入った下柳さん。「これは、冬の仕込み時期に酒母を造るタンクです」と下村社長が教えてくれました。
酒母は、蒸米や麹、酵母などを混ぜて仕込むお酒の元。現代の主流は人工的に乳酸を加えてスピーディーに酵母を育てる「速醸仕込み」ですが、下村酒造店が大切にしているのは、蔵に棲みつく自然の乳酸菌の力を借りて造る昔ながらの「山廃仕込み」です。
「いきなり大きなタンクで仕込むと雑菌に負けてしまうことがある。まずはこれくらいの中型タンクで、たくましい酵母をじっくり育てることが大事なんですよ」という下村社長の説明に、下柳さんも大きく頷きます。
■生産量は大手のわずか数日分! 小さな酒蔵だからこそ出せる「この蔵だけの味」
2階の床には約30センチ四方の小さな穴があり、木の蓋を開けてのぞくと、1階に並ぶ容量4,000リットルもの大型発酵タンクの口が待ち構えています。2階で元気に育った酒母をホースで1階へ流し込み、いよいよ本格的な発酵へ繋げていくという工夫された仕組みです。仕上がったもろみは袋に詰め、専用の機械で重みをかけながら優しく搾られていきます。
年間の総生産量は約11万リットル。これは大手酒造会社ならわずか1〜2日で作ってしまう量なのだそう。「だからこそ、この蔵にしか出せない味や良さを追求しているんですね」と感心する下柳さん。
■「飲みやすさより、飲みごたえ!」焼き鳥のタレや蕎麦に合わせたい至高の1本
「うん、喉にぐっと残るね!」。見学の終わりにこだわりの一本「奥播磨」山廃純米を口に含んだ下柳さんは、その力強い存在感を噛みしめます。「『飲みやすさ』よりも『飲みごたえ』を大事にしているんです」と下村社長も応じます。すっきりとキレ良く仕上がる酒米「夢錦」を使用。その食欲をそそる酸味と奥深い旨味に、下柳さんの食道楽魂にも火がついた様子。「主張しすぎないのもいいなぁ。これは絶対に焼き鳥! たれの甘辛い感じにバッチリ合うわ。塩を振った魚もいいし、蕎麦のつゆにも合いそうだな〜」と、次々に相性の良い料理を思い浮かべていました。手仕事を極める真摯な姿勢と豊かな味わいが詰まった「奥播磨」は、飲む人の心と胃袋をしっかりと掴んで離さない魅力に満ちました。
下村酒造店の日本酒は姫路市のふるさと納税でも入手できます。奥播磨 山廃純米。詳しくは楽天ふるさと納税・姫路市商品ページをご参照ください。
https://www.rakuten.co.jp/f282014-himeji/contents/himeji_sake/
◎紹介した酒蔵
社名:株式会社下村酒造店
創業:1884年(明治17年)
住所:〒671-2401 兵庫県姫路市安富町安志957
営業時間:月~土10:00~18:00、日曜10:00~17:00
定休日:年中無休
電話:0790-66-2004
主要銘柄:奥播磨
HP:http://www.okuharima.jp/