プロ野球・阪神タイガースなどで投手として活躍した下柳剛さんと巡る、姫路の酒蔵探訪。今回訪れたのは、最高峰の酒米『山田錦』のテロワール(土壌)を徹底的に研究し、世界を魅了する日本酒「龍力(たつりき)」で知られる「本田商店」です。「酒造りは米作り、米作りは土作り」という強い信念を掲げ、何千万年もの大地の歴史をお酒に宿す、異色の情熱を秘めた酒造りの現場に迫りました!
■「同じ練習でも骨格で違う!」お米の骨格に合わせた驚きの“選手起用論”とは!?
まず紹介されたのは、土壌研究の成果を紹介するため酒蔵に開設された「テロワール館」。すぐに目に飛び込んでくるのが、本物の田んぼから切り取った巨大な「土壌標本(土壌モノリス)」です。本田龍祐社長は、「米の酒は、米の味」をモットーに、なんと「約3000万年前からの土壌の成り立ち」を徹底的に科学研究しています。川からできた土、沼からできた土、氾濫でできた土など、土壌の粘土鉱物やミネラルの違いが、お米の栄養吸収、ひいてはお酒にした際の「酸味やボリューム感」を決定づけるのだそうです。
「野球の世界でも、同じ努力や練習をしても骨格の違いで全く違う選手になるでしょ」と語る本田社長。「実は以前、川沿いの繊細な土壌で育ったお米を使って、無理に重厚なホームランバッター(4番打者)のようなお酒を造ろうとして、全く賞が獲れなかったんです。お米の骨格(個性)を無視していたんですね」という失敗談が明かされます。
そこで、そのお米が持つ「香りが高くて、最後は綺麗にキレる」という骨格をそのまま生かした「1・2番打者タイプ」として醸造したところ、全国金賞を連続受賞といいます。これには下柳さんも「なるほど!骨格と目指すべき形がピタッと合致したんやな。適材適所の選手起用やね!」と膝を叩いて納得していました。
■雑味を消す自社精米と100%リサイクルの徹底エコ
続いて、ズラリと巨大な精米機が並ぶエリアへ。
日本酒造りでなぜこれほどお米を削る(精米する)のか、下柳さんは長年疑問だったそうですが、「お米の外側にあるタンパク質は、昔の相撲取りのように体を大きくする栄養ですが、酒造りにおいては雑味になってしまう。だから削るんです」との説明を受け、「やっと点と線が繋がった!バカみたいに削ってるわけやなかったんや!」と大喜び。
さらに、お米のランクによる粒の揃い方を、本田社長は投手の「コントロール」に例えます。「粒が90%以上揃っている『特上』のお米は、ピッチャーで言えば狙ったところに90%投げられる優れたコントロールを持っています。逆にバラバラなお米だと、狙いが定まらず、置きに行く(甘いコースに入る)しかない。だからこそ、最高級のお米を使うんです」という投球理論さながらの解説に、元エースピッチャーの下柳さんも深く感銘を受けていました。
また、自社精米で削られた糠(ぬか)は家畜の飼料や肥料、煎餅などの食品原料に売却され、一切無駄にせず100%リサイクルされています。
■お酒の「重心」を意識する新しい楽しみ方。土と時間が紡ぎ出す果てしないロマンに大興奮!
「テロワール館」に戻り、待ちに待った試飲タイム!ここで下柳さんが驚いたのが、お酒の「重心」を意識するという新しい楽しみ方です。
・前重心のお酒:一口目のインパクトと、すっきりしたキレがあり、お刺身などの和食にベストマッチ。
・後重心のお酒:口の中にじんわりと旨味の余韻が残り、肉料理や油のある洋食に抜群に合う。
最高峰の純米大吟醸「米のささやき 秋津」を口に含んだ下柳さんは、「あ!喉の奥の上の方が甘い!香りが強いのに、全然嫌味なく綺麗に消えて余韻だけ残る。ホワイトソースのかかった魚のソテーとか、イタリアンに合わせたいね!」と大絶賛。
続けて試飲したのは、5年から10年の熟成を重ねて美しく輝く「黄金色の古酒」です。
「まるで高級な紹興酒やブランデーみたい!フルーティでコクがあって……これは絶対にエビチリや角煮、中華料理に合わせたら最高やで!」と食通の下柳さんも大いに刺激されていました。パリの超高級レストランでも大人気というのもうなずけます。
また、本田商店では、伝統的な長い稲わらが採れる古い山田錦の生産にこだわっており、その稲わらは奈良の大神(おおみわ)神社(日本最古の酒の神様)の「しめ縄」として毎年献納されているという、神聖な絆も明かされました。
「人間の努力でできることは100%全てやる。あとは土と時間という、人間にはどうしようもない自然の恵みをリスペクトし、追究する。これが何より楽しいんです」と語る本田社長。一杯の日本酒の背後に広がる途方もない大自然のロマンを全身で噛み締めた、感動の取材旅となりました。
本田商店の日本酒は姫路市のふるさと納税でも入手できます。龍力 米のささやき YK35。詳しくは楽天ふるさと納税・姫路市商品ページをご参照ください。
https://www.rakuten.co.jp/f282014-himeji/contents/himeji_sake/
◎紹介した酒蔵
社名:株式会社本田商店
設立:1921年(元禄時代から続く播州杜氏の流れを汲む)
住所:〒671-1226 兵庫県姫路市網干区高田361-1
営業時間:8:30~17:00
定休日:日曜日・祝日・年末年始
電話:079-273-0151
主要銘柄:龍力
HP:https://www.taturiki.com/