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暑い夜、「保冷剤」を当てて寝てしまったら……皮膚がなんだかおかしい 1週間放置したら全身が腫れて、即入院「凍傷になってしまって、一部壊死も」

宮前 晶子 宮前 晶子

暑さをしのぐため保冷剤を肌に当てた結果、「これで入院デブリ植皮しました。Ⅲ度です、全層植皮です。素人ですが、経験者として訂正させてください、“直接”じゃなくてもそうなります。布越しに当てていました」と、皮膚に異変が発生したちぅさん(@cwaaa97)。

今や熱中症対策として使用されがちな「保冷剤」……SNSでの注意喚起には驚きの声が続出。「自分もよくやってた、危険だとは」「すごく勉強になりました」「布越しでも重症化するとは知らなかった」という声とともに、「直接皮膚に当てないだけでなく、長時間当て続けないことも徹底しないといけない」「途中で冷たすぎてやめた」「医者に怒られたことがある」「私も痣になった」と危険性を感じた人も。

また最近は、「暑さ対策に手のひらを冷やす」ということがテレビなどでも度々紹介されていたことから、「手のひらで直で握っていた」という人もいました。

食品用で本来の用途ではない使い方である「保冷剤で涼を取るのは絶対やめて」と訴えたちぅさんに、そのときの状況などを取材しました。

保冷剤を肌に当てて、3時間で……

ある夜、あまりの暑さに布で巻いた保冷剤を大腿部(太もも)に当てたちぅさん。エアコンのリモコンが見当たらず、急場しのぎでの行動でした。

「普段そんなことしないのに……。その日はかなり疲れていたので、そのまま寝落ちしてしまいました。3時間後に目覚めたとき、保冷剤は溶けていたものの、当てていた部分の皮膚はひんやり。冷たいけど手で触れると感覚がなかったので、マズいなとは思いました。でも、出勤前でもう少し睡眠時間が必要だったので、溶けた保冷剤を外してそのまま二度寝しました」

数時間後、目が覚めた時には酷い痛みを感じるように。皮膚を見たところ、ピンク色になっており、時間の経過とともに大きな水疱が出現。

「翌日くらいには白っぽくなって、足全体がパンパンに浮腫みました。3日目は紫色っぽく、4日目は灰色っぽく、5日目は緑っぽく。6日目はところどころ黒っぽく、と毎日色が変わっていきました。また、水疱が破れてしまい、その滲出液でズボンを濡らしながら仕事していました」

保冷剤を当てていた部分はそれほど痛みを感じなかったそうですが、その周りに痛みがあり、特に座ると激痛。鎮痛剤を飲んで、どうにか堪えていたと話します。

しかし、仕事が多忙を極めていたため、病院を受診できたのは1週間後。「37度の微熱も出てきて、全身が腫れてきたんです。顔や手が痒くなってきたので、“これはさすがにヤバい”と音羽病院の救急を受診しました」。当日は軟膏処置を受けて痛み止めを貰って帰宅。

翌日、改めて音羽病院の形成外科を受診したところ、医師から診断された病名は「Ⅲ度熱傷」というものでした。入院してすぐ手術するか、入院して高気圧酸素療法を受けるか、通院して治すかの3択を医師から提示され、とりあえず入院して高気圧酸素療法を受けながら手術するか考えることにしました。

「保冷剤による凍傷も熱傷になるそうです。両脚の大腿部に10~20cmほどの凍傷があり、表皮剥離や皮下組織の露出、一部の壊死もあると言われました」

医師の言葉を聞きながら、ちぅさんの胸によぎったのは、もっと早く受診したらこんなに酷くならなかったのか?ということ。医師に早めの受診なら良かったのか?と聞いたところ、早く受診しても長時間保冷剤を皮膚に当てたことによる凍傷は動かせない事実、熱傷に至ると言われ、「受診が遅れたことを悔やまずに済む、と少しホッとしました」。

その一方で、改めて保冷剤を肌に当てることによる恐ろしさを感じました。

大人がシクシク泣くほど痛かった

入院は約1ヶ月に及びました。毎日、高気圧酸素療法を受けつつ、患部を洗って軟膏を塗る処置を受けました。

「入院後には皮膚の組織から細菌が侵入して、炎症を起こす蜂窩織炎にもなりました。いい大人が毎日ベッドでシクシク泣くほど痛かったです」

日に日に皮膚が溶けて腐り落ちていき、悪臭がして気分も憂鬱に。さらに、顔や手足が赤く腫れて、息が詰まる症状も出て、ボスミン注射を打つことも2度(アナフィラキシーショックに対する治療)。

「熱が出たり下がったり、痛み止めが効かなかったりして、かなりしんどかったですが、動かないと体力が落ちてしまうので、リハビリも毎日受けていました」

入院中、全身麻酔でのデブリードマン(壊死、感染した組織や異物を取り除く処置)と全層植皮手術を行うことが決定。

「手術を受けるまでは、腐り落ちた皮膚をちょっとずつ切り取ってもらっていました。真っ赤なお肉が丸見えでしたね。洗うのは不思議と痛くないのですが、軟膏を塗るととても痛かったです」

手術では、熱傷を起こしていない部分の皮膚を採って、患部に縫い付けました。熱傷部位ではない顔や手足の皮膚も、約1ヶ月かけてボロボロになって薄皮一枚剥がれて、手足にあったタコも全部剥がれ落ちたと言います。

「術後はしばらくベッドから起き上がることを禁止されました。移動も車椅子でした。痛み止めの点滴や内服はありましたが、とにかくずっと痛かった。それしかありません」

みんなには同じ経験をしてほしくないと思い、「直接も布越しも危険、長時間同じ部位に当てることもやめて」とSNSで発信。保冷剤の使い方を改めるというコメントが
多かったなか、「わざと脂肪を凍らせるダイエット医療があるというコメントに驚きました」とちぅさん。「私の経験上、凍ったところは全く痩せないどころか、かなり長い間広範囲がパンパンに腫れて、受傷直後から腫れが引くまですごく体重も増えていました。ダイエットになるとは、にわかには信じがたいです」と安易な保冷剤利用を踏みとどまるよう、訴えます。

保冷剤は食品の腐敗防止などを使用の目的としているもので、熱中症など人の体の熱を冷ますことを使用目的とはしていません。身近にある保冷剤を活用した暑さ対策として、「保冷剤をタオルに巻いて首筋などに当てる」「キンキンに冷やした保冷剤を手に握る」などのアイデアがSNSなどで散見されますが、本来の目的とは異なる使用方法ではケガ・病気を招く恐れも。

東京都消費生活総合センターは、「患部を冷却するために自宅にあった保冷剤を当てたところ凍傷になった」などの相談が寄せられたことから、人肌に温めた鶏肉を使用して調査を実施。マイナス10度以下をキープする保冷剤を当てたところ、30分後には鶏肉の一部が凍っていることを確認できたことを報告し、「保冷剤を長時間、同じ場所に当てないようにしましょう」など保冷剤の正しい使用方法、用途に応じた使用について注意を呼びかけています。

退院してまもなく1年が経過するちぅさんは、体質のこともあって傷痕が腫れたり膿んだり痛んだりすることもあり、今も経過観察で通院中。

「治療していただいた音羽病院(京都府)さんには、とても良くしていただき、感謝の思いでいっぱいです。重篤な患者さんの診療も行う救急病院で、災害時等に使用する救急車を更新するためのクラウドファンディングを受け付けています。救急車は、困難な状況下で怪我や病気に見舞われた方を救うために欠かせません。ぜひご協力いただけたらと思っています」

■ちぅ X @https://x.com/cwaaa97https://x.com/cwaaa97

■洛和会音羽病院「京都の救急・災害医療を守りたい!病院救急車 更新のご支援https://readyfor.jp/projects/otowa4111

■東京くらしWEB https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/attention/kigai_horeizai_20190618.html

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