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海と一体になる爽快感とスリル 車いすユーザーが夢中になったバリアフリーな小型ヨット・アクセスディンギー

小嶋 あきら 小嶋 あきら

小型のヨットというとディンギーが有名ですね。帆に風を受けて軽快に水面を走る様はとても気持ちよさそうに見えますが、実は少しでも失敗すると簡単に転覆してしまう、とてもスパルタンな乗り物です。転覆することを「沈(ちん)」と言いますが、沈しては起こし、また沈して、というまさに体育会系の世界なのですね。

そんなディンギーよりも小さく、誰でも簡単に操船できる「アクセスディンギー」というヨットがあります。ジョイスティックと呼ばれるレバー1本で操作でき、体重移動は必要なく、ほぼ転覆しないので、例えば足の不自由な方でもごく当たり前に楽しむことができます。

セーラビリティ大阪という団体では、このアクセスディンギーを広く普及させる活動と共に、毎年一回「全日本選手権」を開催されています。今年も7月20日の海の日に大阪北港マリーナで、そのレースが行われました。

車いすを桟橋に置いて、レースを楽しむ

アクセスディンギーには、帆が一枚の2.3と、帆が二枚の303があります。そしてレースはそれぞれ一人乗りのシングル、二人乗りのダブル、合計4つのクラスで行われます。今回、303のシングルにエントリーされていた、車いす利用者の住谷充弘さん(73)にお話を伺いました。

「小さい頃から足が不自由でした。ヨットとかマリンスポーツはずっと無縁だったのですが、40代の頃にこういうヨットがあると聞いて始めました。以後ずっと楽しんでます」

第二レース、いきなりトップに立った住谷さんは、最後追い風の直線で追いつかれ、惜しくも二位でした。

「いやあれ、ほんと悔しかったです。やったー、と思ったんですけどね(笑)」

 

セーラビリティ大阪代表の藤本さんはおっしゃいます。

「実は子供が意外に上手いんです。いろいろ考えるとかえって難しい。もしかすると人間、みんな生まれつきセーリングの感覚を持ってるのかも知れません」

風の力で船を動かす。ヨットという乗り物をとことんシンプルに、感覚的に、誰もが楽しめるカテゴリー。年齢・性別・障害等による差別の無い、アクセスディンギーを使って、セーリングの楽しみを広く味わい楽しんでもらいたい。そんな思いで活動されているということです。

 

実際に乗せていただきました

最終レース、筆者はスタッフの高見さんの隣に乗せていただき、同じ視点でレースの模様を体験しつつ撮影しました。

実際に乗艇してまず感じたのは、水面の近さです。肩の下30センチほどのところに水面があります。この日の大阪北港は良い風が吹いていて、思いの外軽快に走ります。帆が風を受けると当然、艇は傾きます。ヨットの用語ではこれを「ヒールする」と言うのですが、低くなった側はあと数センチで水が入ってくるくらいです。ぽちゃっとなったらカメラ水没、そんな緊張感でいっぱいです。さらにこの辺り、時折魚の「ボラ」がジャンプするのですが、タイミング悪く奴らが飛び込んできたら……。とても臭い、ということを経験上よく知ってるので、これまたいやが上にも緊張感が高まります。

 陸から見てると優雅に見えますが、乗ってみると結構スリリング。そして水面をかなり自由自在に航行できる感覚。これは病みつきになりそうです。

 

無事にレースが終わり、艇を陸に揚げて片付け終わると、マリーナのBBQ会場で打ち上げと表彰式。快晴と強めの風に恵まれたこの日、参加者はみんなとても楽しそうな笑顔でした。

 楽しそうだなと思った皆さん、大阪北港マリーナで随時体験できますので、ぜひ一度お出かけください。

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