tl_bnr_land

岡山県警察学校に地元新聞の新人記者が”入校” 厳しい訓練重ね、地域守る

山陽新聞社 山陽新聞社

 岡山市北区玉柏にある岡山県警察学校は、採用直後の警察官の卵たちが一線での活躍を目指して仕事の基礎を学ぶ場だ。テレビドラマや小説では厳しい訓練や過酷な生活が描かれているが、実際はどうなのか。同じ4月に入社した“同期”の目で確かめようと、記者(22)が入校体験に参加した。

 「もう限界。腕がちぎれそう」

 重さ6キロのジュラルミン製の盾を使った警備実習。ヘルメットをかぶり、腕にはプロテクター、動きにくい革のブーツ…。それだけでも3キロ以上になる。頭の上に盾を掲げ、身を守る姿勢を取る。体はぐらぐらと揺れ、腕はぷるぷると震え出す。「やめ」の合図まではほんの数分、いや数十秒だったのかもしれないが、永遠のように感じた。取材道具が詰まったリュックサックとカメラが重くて疲れるなどと言っている場合ではない。

 入校体験は警察の業務を広くPRし志願者増につなげようと、県警が6月下旬、報道関係者向けに開いた。高校大学時代は運動部に所属、体力に自信があった記者だったが、学生たちの足元にも及ばなかった。

 盾を自在に操る訓練の後に待っていたのはランニング。この日はあいにくの雨で、さすがに屋外を走る訓練は中止だろう。そう思ったのもつかの間、隊列を組んで出発だ。

 最初は何とか食らいついていたものの、徐々に遅れ始め、そのうち集団から置いていかれる始末。息は上がり、口の中は血の味がした。ラストはほとんど歩き。見かねた教官が付き添ってくれ、学生たちの応援もあり、無事走り(歩き)抜くことができた。

 そんな厳しい訓練の後は楽しい食事の時間。体験したのは水曜で、毎週「カレーの日」だという。大皿に山盛りについでもらったカレーは、小中学校時代の給食を思い出させる優しい味だった。学生たちとの話も盛り上がり疲れが吹き飛んだ。

 兄に憧れて警察官になった藤井修平さん(20)=倉敷市出身=は「食堂のメニューの中でカレーが一番おいしい。しっかり食べて体力を付け、早く一人前の警察官になりたい」と話した。

 昼休みの後は交通違反者の取り締まり実習に挑んだ。校内の通路に立てられた一時停止標識を無視して進んだ車を止め、違反の内容を説明する。

 「止まってください」。違反した車の運転手に声をかけながら安全な場所へと車を誘導したが、こんな弱腰では誰も止まってはくれないだろう。

 「いつもは標識をちゃんと見とるけん、今回は許してや」。ああ言えばこう言う、といった調子で取り締まりに応じてくれない違反者をみんなで説得する。自分が思うように相手が応じてくれないのは、取り締まりも取材も似ていると感じた。

 手本を見せてくれた熊井里紗さん(19)=岡山市南区出身=は警察官である空手の師範に憧れて志した。「違反は事故につながり、大切な命を落としてしまう可能性があると理解してもらうために、とにかく粘り強く説得しなければならない」と教えてくれた。地域の安全安心は、そんな地道な努力の積み重ねで確立されていることを実感した。

 たった5時間の入校体験だったが、憧れに向かってひたむきに努力を重ねる学生たちの姿は、憧れていた記者になった自分とも重なる。「私ももっと頑張ろう」。ひどい筋肉痛に見舞われた全身をいたわりつつ、刺激を受けた一日を振り返った。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース