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生活保護受給者「エアコンなんて買えない」→購入費が支給される場合も 低所得・障害者世帯が知っておきたい猛暑対策【社会福祉士が解説】

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生活保護を受給しながら一人で暮らす70代の小山さん(仮名)は、住んでいた建物の老朽化により、引っ越すことになりました。旧居では備え付けのエアコンを使用していましたが、転居先にはエアコンがありません。「エアコンなんて買えない」と我慢しようとしていたところ、担当ケースワーカーから「エアコン購入費の補助が申請できる可能性があります」と声をかけてもらいました。制度について初めて知った小山さんは、申請することにしました。購入費と設置費用の支給を受けてエアコンを設置でき、「こんな制度があることを、もっと早く知りたかった」と話してくれました。

ここからは、生活保護受給世帯や低所得世帯、障害者世帯などが利用できる可能性のある、エアコン購入費や熱中症を防ぐために役立つ施設・情報などについて見ていきましょう。

なぜ今、この支援が必要なのか

近年の夏の暑さは、これまでとは比べものになりません。総務省消防庁によると、2025年の5〜9月の熱中症による救急搬送人員は全国で10万510人となり、調査を開始した2008年以降で、最も多い搬送人員となりました。

また、大阪府監察医事務所が取り扱った大阪市内の熱中症死亡例では、2025年に自宅で発見・発症した人のうち、約8割はエアコンを使用していませんでした。電気代の高騰が続く中、エアコンを「節約のために使わない」という選択が、命に関わる場合もあります。

生活保護世帯のエアコン購入補助

◆国の制度(家具什器費)

2018年に、生活保護制度の「家具什器費(一時扶助)」として、一定条件のもとでエアコンなどの冷房器具の購入費が支給されるようになりました。

対象となるのは、生活保護を新たに開始したときや、退院・退所後に単身生活を始めるとき、災害で冷房器具を失ったとき、転居に伴いそれまで使用していた冷房器具が使えなくなったときなどです。

さらに、世帯に高齢者、障害者、子ども、難病患者など、熱中症予防に特に配慮が必要と認められる人がいて、自宅に冷房器具がないことなどが条件となります。

冷房器具の購入費の上限は7万8000円です。設置費用が別途必要な場合は、真にやむを得ないと福祉事務所(実施機関)が認めたときにかぎり、設置に必要な最小限度の額が別途支給されます。

なお、すべての生活保護受給世帯が対象になるわけではありません。まずは「熱中症予防の観点から必要である」という事情を担当ケースワーカーに、ていねいかつ具体的に相談しましょう。

◆自治体独自の補助制度

また、自治体によっては、住民税非課税世帯、生活保護受給世帯、高齢者世帯、障害者世帯などを対象に、エアコン購入費や設置費を補助する制度を設けています。対象者や補助額、申請期間は自治体によって異なります。市区町村の福祉担当窓口に相談するか、ウェブサイトで「○○市 エアコン 購入補助」などと検索してみてください。制度の名称は、自治体によって異なります。また、制度を設けていない自治体もあるため、実施の有無や申請条件を市区町村に確認してください。

エアコン購入に関連して確認したい支援制度

自治体によっては物価高騰対策として、住民税非課税世帯などに給付金を支給しています。金額や条件は自治体ごとに異なりますので、お住まいの地域の広報やウェブサイトをご確認ください。

また、高齢者や障害者手帳をお持ちの人を対象に、省エネ性能の高いエアコン購入時、補助やポイント還元を行う自治体もあります。お住まいの都道府県や市区町村名を入れ、「省エネ家電 補助」などと検索してみてください。

さらに、社会福祉協議会を通じて、低所得世帯や障害者世帯に対して無利子または低利子で貸し付けを行う「生活福祉資金貸付制度」があり、エアコンなどの購入費用に利用できる場合があります。貸し付けには審査があるため、詳しくはお住まいの市区町村の社会福祉協議会にご相談ください。

熱中症を防ぐために利用できる施設・情報

また、エアコンの購入から設置までの間に、熱中症対策として工夫できることが、いくつかあります。

◆クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)

2024年4月から「熱中症特別警戒情報(特別警戒アラート)」の運用が始まり、発令時には市区町村が事前に指定したクーリングシェルターが一般に開放されることになりました。

クーリングシェルターには、公民館・図書館などの公共施設に加え、ショッピングモール・薬局などの民間施設も含まれます。ご自宅近くのクーリングシェルターは、お住まいの自治体のウェブサイト、または環境省の「指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)・リンク集」でご確認いただけます。

◆熱中症警戒情報の受け取り方

環境省のLINE公式アカウントを友だち追加すると、熱中症警戒アラートなどの情報が受け取れます。また、環境省の「熱中症予防情報サイト」では、全国の暑さ指数をリアルタイムで確認できます。外出前やエアコンの使用を迷うときなどに、こまめに確認してください。

申請の流れと相談窓口

利用できる制度が見つかったら、早めに相談し、必要な手続きを確認しましょう。制度を活用するためのステップをまとめます。

ステップ1:生活保護受給者は担当ケースワーカー、または福祉事務所に相談する。自治体独自の補助制度については、お住まいの市区町村の窓口に確認する。

ステップ2:エアコンの必要性(高齢・障害・持病など)を具体的に伝える。医師から暑さを避けるよう指示されている場合は、その内容もあわせて窓口に伝えてください。

ステップ3:見積書など必要な書類を準備し、ステップ1で確認した窓口へ申請する。

エアコンは今や、命を守る必需品です。「電気代が心配でエアコンを使えない」「エアコンが買えない」という状況でも、公的支援制度を使えば解決できる場合があります。大切なのは、制度を知ることと申請することです。また、本記事の情報は2026年6月時点のものです。制度の詳細や金額は年度・自治体により異なりますので、最新情報は各窓口にご確認ください。

   ◇   ◇

小山さんは、新居に無事にエアコンを設置し、夏場も安心して過ごせるようになりました。熱中症の心配が減り、ぐっすり眠れるようになったことで、体の調子も以前より整ってきたといいます。「我慢しなくてよかった」という言葉が、制度を知ることの大切さを物語っています。

この夏を安全に乗り越えるために、まず一度、お住まいの福祉窓口や担当のケースワーカーに相談してみてください。

【出典】
総務省消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」(2025年10月29日公表)
大阪府監察医事務所「2025年熱中症死亡例に関する統計」
厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」の一部改正について(社援発0331第21号、2026年3月31日付)

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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