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里帰り出産した娘の産後サポートが終わらない 60代のワンオペ孫の世話 「そろそろ自宅に帰って」と言えず心身が限界です【公認心理師が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

Aさん(60代女性)の娘は、昨年12月に出産しました。娘は出産の3カ月前から実家に滞在しており、産後2カ月を迎えた現在も自宅に戻っていません。Aさんは仕事をしながら、娘の食事の準備や家事、孫の世話を担っています。

最初は産後のサポートのつもりでしたが、負担は次第に大きくなり、心身ともに限界に近い状態になってしまいました。しかしAさんは娘に対して「そろそろ自宅に帰ってほしい」と伝えることに罪悪感を抱いており、言い出せずに不満を募らせていきます。

一方、娘の夫や同居するAさんの夫は、Aさんの負担の大きさを十分に理解していない様子です。この状況にもAさんは「なぜ自分だけがこんなに大変なのか」と憤りを感じるのでした。

Aさんのように、産後サポートで実母に負担が集中しストレスに感じるケースは多いのでしょうか。また家族関係を壊さずに上手く調整する方法はあるのでしょうか。オンラインカウンセリングKimochi所属の公認心理師・伊藤かおりさんに話を聞きました。

実母が限界になって初めて「もう無理」と気づくケースも多い

ーAさんのようなケースは多いのでしょうか?

産後の里帰りサポートで実母が心身ともに疲弊するケースは、決して珍しくありません。実母は自分自身の仕事や家事をこなしながら、娘と孫の両方を支えるという、いわば「二重のケア役割」を担うことになります。

また、「娘がかわいそう」「親なんだから当然」という思いから、自分の疲労を後回しにしがちです。限界になって初めて「もう無理」と気づくケースも多く、Aさんのような状況は非常によくあることだと言えます。

ーそのような状況で、同居する祖父や娘の夫など周囲の人が問題をあまり認識していないケースも多いのでしょうか?

この問題の背景には、食事の準備、哺乳瓶の洗浄、沐浴補助、夜中の対応などの「名もなき家事」の存在があります。実母が担う作業は日常の中に溶け込んでいて、傍から見ると「普通の家の風景」に映りやすいのです。

また、夫(Aさんのパートナー)は同じ屋根の下にいても、育児・家事は「妻がやっていること」として認識しているため、これらの問題を認識しにくい傾向があります。さらに、娘の夫も妻のいない自宅で生活しながら「サポートしてもらっている」という受け手の立場に置かれるため、実家側の負担が見えにくくなります。

ー親子関係や夫婦関係を保ちながら、里帰り終了や役割分担について話し合う際の伝え方のポイントがあれば教えてください。

まず「あなたのことを大切にしたいからこそ、持続可能な形にしたい」というAさんの率直な思いを伝えましょう。たとえば「帰って」と伝えるより、「私も体力的に限界に近くて、このままだと倒れてしまいそう。一緒にどうするか考えたい」という言い方のほうが、娘さんも防衛的にならず受け取りやすくなります。

また、「いつまで、どんなサポートを、誰が担うか」を具体的に話し合う場を設けることが重要です。たとえば「あと2週間で帰宅して、週に1〜2回はこちらで食事する」「夫側の両親にも協力をお願いする」といった段階的な移行プランを一緒に作ることで、娘も「見捨てられた」と感じずに済みます。

ただ、こうした家族関係が絡む悩みは、近しい人には話しにくく、ひとりで抱え込みやすいのではないでしょうか。そんなときに、オンラインカウンセリングをぜひ活用してみてください。自宅から気軽に相談できるため、育児中の娘さん側にとっても、サポートに疲弊した実母側にとっても、敷居が低く利用しやすいのが特徴です。第三者の専門家が間に入ることで、家族だけでは行き詰まっていた対話が動き出すこともあります。

◆伊藤 かおり(いとう・かおり) Kimochi所属公認心理師・臨床心理士
1985年生まれ。行政・福祉・教育・産業など多領域での実務経験を経て独立。現在は企業向けメンタルヘルス支援を中心に、コンサルティング・研修・組織支援を軸とした事業を展開している
◆オンラインカウンセリング Kimochi
Kimochiは、国家資格「公認心理師」を持つカウンセラーのみが在籍するオンラインカウンセリングサービスです。恋愛や仕事、育児、人間関係の悩みまで幅広く対応し、ビデオ・チャット・ペアの3つの形式から、自分に合ったスタイルで相談できます。
▽公式ホームページ
https://kimochi-mental.com/

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