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エスカレーターは使わず優先席は譲る側 80歳現役アクション俳優倉田保昭 衰えない肉体は半世紀休まないストレッチにあった

石井 隼人 石井 隼人

継続は力なり。アクション映画界の至宝、倉田保昭(80)は実感を込める。

「ブルースと出会ってからおよそ50年以上、僕は毎日やっています」

そう言いながら、今年2月に傘寿になった“和製ドラゴン”は見事な開脚を始めた。

「こうして足の裏の筋を伸ばす。重いものを持ち上げる筋トレよりも、柔軟を大切にしています」

ブルースとは、1970年代に世界中にカンフー映画旋風を巻き起こした伝説的俳優ブルース・リーのことだ。

武道トークで意気投合

1970年に単身香港に渡った倉田は、ジャッキー・チェン、サモ・ハンら数々のスターたちと共に黄金時代の香港アクション映画界を支えた。“和製ドラゴン”との異名で日本に逆輸入され、人気テレビドラマ『Gメン'75』にも出演。テレビ・映画の出演本数は100を超えている。

ブルースとの共演は叶わなかったが、同じアクション俳優として彼が亡くなるまで親交を深めた。武道の話で意気投合したという。

倉田が企画・主演を務めるアクション映画『夢物語 The Living Dragon』(7月17日公開)のエンドロールでは、ブルースとの仲睦まじい様子を捉えたスナップ写真を見ることができる。

優先席は譲る

『夢物語 The Living Dragon』はアクション俳優歴60年の倉田の生涯が詰まった、凄まじい作品。3つのオムニバスの中で80歳の倉田がノースタントで死闘を実演する。

倉田が「真剣勝負」と表現するアクションももちろん凄い。だがそれ以上に目を引くのが、日常生活の中にある何気ない挙動。胡坐をかいている状態から立ち上がる動作に「どっこいしょ」感は皆無で、すべてにおいてスッとしている。

「駅ではエスカレーターは使いません。常に階段を歩く。優先席があったらほかの老人に譲ります」

些細な日々の積み重ねが鍛錬となり、筋力を衰えさせない。

「朝も夜もほとんどストレッチ。椅子に座ってダラダラとテレビを見ることもありません。テレビを見るにしても常に体を動かしながら見ています。ストレッチが趣味と言えるかもしれません」

健康体を作る食事にも気を配る。

「食べるものと食べる時間と食べる量。これが一番大切。ちょっと時間がないから適当に…ではダメ。口に入れるものが体を作ります。夜6時以降水以外口にしないのもルーティン。好き嫌いはなし。タバコも酒もやりません。…ちょっとつまらない男かなあ?」

アクションは壁を超える

心の持ちようも健康な肉体を支える大きな要だ。倉田は語尾に「い」が付くネガティブワードは絶対に口にしないという。

「痛い、辛い。この『い』が付いた言葉を口走ったところで何の意味もない。単なるボヤキでしかない。『疲れた』『年だから』も大嫌いな言葉です。僕は絶対に言いたくない」

御年80歳。まだまだアクションの可能性を突き詰めたい気持ちは大きい。

「アクションの魅力は説明や言葉、すべての壁を超えるところ。僕は言葉もわからないまま香港に行ってアクション映画に出演し続けました。その映画が今では独り歩きして、アフリカの先端でも南米の先端でも観られて、いまだに観客を熱狂させている。これは、アクションのおかげでしかないと思います」

アクション俳優歴60年の道のりに納得はしている。しかし満足はしていない。生涯現役、倉田のアクションへの道は継続中だ。

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