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雨の日に溝から保護した猫 体は泥まみれゴミだらけ 洗い流すと美しい姿に マイクロチップがあっても飼い主と再会できず家族に

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「保護していた猫ですが、遺失届が出ていないまま期限を迎え、所有権は私に移りました!ということで一生幸せにしてやります」

そんな報告がXに投稿され、多くの人から「優しい方に出会えて本当によかった」「ぺっつちゃん、幸せになってね」と祝福の声が寄せられました。

投稿したのは、大阪プロレス株式会社統括マネージャーでリングアナウンサーの宮尾信次郎さん(@ring_ana)。

雨の日に保護した1匹の猫は、その後「ぺっつ」という名前で新しい家族になりました。名前は、昨年まで一緒に暮らしていた愛猫「ぺっし」にちなみ、保護中は「ぺっし2(仮名)」と呼んでいたことから、「字面が似ていて面白い」と「ぺっつ」に決めたそうです。

しかし、その背景には警察への届け出や動物病院での診察、マイクロチップの確認など、知られざる手続きがありました。宮尾さんに詳しい話を聞きました。

雨の溝で見つけたのは、ずぶ濡れの“毛玉”だった

ぺっつちゃんと出会ったのは、6月7日午後5時ごろ。仕事帰り、自宅近くを歩いていた宮尾さんは、道路脇の溝に毛玉のようなものが落ちていることに気づきました。近づいてみると、それはずぶ濡れになった猫でした。

「弱っている様子で鳴いたり、シャーと威嚇したりはするのですが、声は小さく、ほとんど動きませんでした。雨が流れる溝でうずくまっている姿を見て、『せめて雨宿りだけでもさせよう』と思ったんです」

強い雨の中、いったん自宅へ戻ってバスタオルを持ち、「失礼します!」と声をかけながら猫を包み、自宅へ連れて帰りました。

当初は野良猫だと思っていたため、雨宿りをして元気になったら自然に帰っていくだろうと考えていたそうです。玄関先で体を拭き、キャットフードと水を用意しましたが、まったく口をつけません。

「手足は泥まみれ、体は落ち葉やゴミだらけでした。でも、目だけは透き通るような青色で印象に残っていました」

その後、警察へ電話すると「遺失届は出ていないが、一度見に行く」との返答がありました。ところが、保護しようとした瞬間、それまで動かなかった猫は庭のウッドデッキの下へ逃げ込んでしまいます。何とか捕獲し、浴室で体を温めながら警察の到着を待ちました。

しかし、警察からは「首輪がなく、野良猫か飼い猫か判別できないため保護はできない」と説明を受けます。「元の場所へ戻すか、ご自身で保護してください」と言われたため、宮尾さんは自ら世話をすることを決めました。

シャンプーすると現れた“美猫” ラグドールでは?

泥や落ち葉を洗い流すためシャンプーをすると、そこには思いもよらない美しい猫の姿がありました。友人へ写真を送ると「ラグドールじゃない?」と言われ、画像をAIで確認してみても同じ結果だったといいます。

「ラグドールは完全室内飼いが基本と聞いていました。けがもなく、濡れていない部分もあったので、『これは迷子になった飼い猫では』と思いました」

翌日、動物病院を受診すると、メスで推定1歳前後、けがはなくマイクロチップが入っていることが判明しました。

一方で、マイクロチップの登録情報は個人情報保護のため、病院では確認できず、警察への届け出が必要と説明を受けたそうです。宮尾さんは再び警察へ向かい、拾得届を提出。警察はマイクロチップの情報を基に、飼い主へ連絡を試みることになりました。

「もし連絡が取れず、遺失届も出ないまま約2週間経過した場合は、私の方で面倒を見ることになると説明を受けました」

その間、迷い猫の掲示板にも情報を掲載し、飼い主が現れることを願っていたといいます。ところが、数日後には排尿回数の多さや粗相が気になり、再びAIへ相談。「膀胱炎ではないか」との助言を受けて病院を受診すると、実際に膀胱炎と診断されました。そして薬を飲み始めると症状は改善し、少しずつ元気を取り戻していったそうです。

「オマエ、オレのこと好きやろ〜!」すっかり家族の一員に

保護当初は姿を見るだけで、物陰に隠れていたぺっつちゃん。しかし、おもちゃで遊ぶようになると距離は一気に縮まりました。現在は宮尾さんが仕事をしている間も、家の中をどこへ行くにも後をついてくるそうです。

「朝起きて寝室から一緒に出て、ご飯も一緒。仕事部屋には入れませんが、リビングへ移動するとすぐついてきます。『オマエ、オレのこと好きやろ〜!』という感じですね(笑)」

ご飯も遊ぶことも大好きで、おもちゃを自分で足元まで運んできて遊びを催促することも。

「完全に家族の一員ですね」

その後、環境省の案内に従ってマイクロチップの登録変更手続きを進めたところ、猫種はラグドール、生年月日は2024年7月29日と判明しました。当初は生後半年から1歳くらいと予想していましたが、実際は1歳11カ月だったそうです。

「保護した当初は体重3.3キロでラグドールにしては軽かったので、もっと若いと思っていました。意外とお姉さんでした」

「マイクロチップがあっても、連絡が取れるとは限らない」

一方で今回、宮尾さんが痛感したのは、マイクロチップがあっても飼い主と必ず再会できるわけではないという現実でした。警察や関係機関からは「マイクロチップが入っていても、必ずしも飼い主と連絡が取れるわけではない」と説明を受けたといいます。

調べてみると、飼い主になってから30日以内に登録情報を変更する必要がありますが、登録を忘れたり、引っ越しや電話番号変更後に情報を更新していないケースもあるそうです。

「情報登録は義務ですが、努力義務なので罰則はありません。だから『マイクロチップがあれば安心』ではなく、『連絡が取れたらラッキー』くらいのものだと思いました」

なお、正式に所有権が移るのは3カ月後といわれていますが、今回のケースでは警察や環境省の案内に沿って手続きを進め、環境大臣指定登録機関である日本獣医師会マイクロチップヘルプデスクで登録変更が完了。宮尾さんは「法律上の一般的な所有権移転の扱いとは異なる部分もありますが、警察や関係機関の指示に従って家族として迎えることになりました」と話します。

最後に、今回の経験を通して伝えたいことを尋ねると、こう話してくれました。

「マイクロチップは大切な家族を守るものです。住所や電話番号が変わったら、情報登録や更新は必ず行ってください。そして、もし動物を保護して何をすればいいか分からないときは、動物病院や警察に相談してください。私はAIにも、かなり助けられました。今はいろいろな手段がありますから、一人で抱え込まず活用してほしいですね」

雨の中でうずくまっていた1匹の猫は、多くの手続きを経て「ぺっつ」として新しい人生を歩み始めました。その青い瞳は今、安心できる家で穏やかな毎日を見つめています。

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