「鎮静剤を使って眠っている患者さんでも、耳は聞こえているから会話には気をつけてね」
新人時代、先輩看護師から受けた教えについての投稿がXで注目を集めています。医療現場の現実について投稿者に聞きました。
投稿したのは、看護師19年目の「SKY BLUE@ポジティブナース」さん(@skyblue_nurse)。4月27日、「意識のない患者さんの前で医師の愚痴を話していたところ、後日患者さん本人が医師へ伝え、現場の空気が凍りついた」という、先輩看護師から聞いたエピソードを投稿しました。
先輩から聞いた話によると、その時の患者は人工呼吸器を装着し鎮静中。回復後に「看護師さんが〇〇先生の悪口を言っていましたよ」と医師に直接伝えてしまったのだといいます。
「当時は半信半疑な部分もありましたが、『意識がなくても耳は聞こえているって怖いな、気をつけなきゃな』と思った記憶があります」と振り返ります。
「SKY BLUE@ポジティブナース」さんは現在、ICU(集中治療室)に勤務しています。人工呼吸器を装着し、鎮静剤によって眠っている患者も多い環境で、こんな現実を明かしてくれました。
「意識がないのをいいことに、患者さんを“モノ”のように扱ってしまったり、スタッフ同士の雑談や悪口、患者さんの病状や予後(今後の見通し)について話してしまったりする人もいます」
Xの投稿には「聞こえてる前提で接するって、医療者の基本だと思う」という厳しい声が届いた一方、「優しい声がけってちゃんと届いてるはず」「昏睡状態だった父も、声がけに反応していた」といった体験談も寄せられました。
中には、ICUで意識のない状態の家族のそばで「看護師さんから『好きな音楽をかけてあげて』と言われた」という人もおり、“聞こえているかもしれない”と感じている人は少なくないようです。
意識はなくても聞こえている――声がけの力
19年間の看護師経験の中で、「SKY BLUE@ポジティブナース」さんも「耳は最後まで聞こえている」と強く感じる場面に何度も立ち会ってきたといいます。
「心臓が止まりそうな患者さんに、『ご家族がもうすぐ到着するから頑張ってくださいね』と声をかけても、私たち看護師の声では脈や血圧に変化が見られないことがあります。でも、ご家族が耳元で『お父さん、〇〇だよ!頑張ってね!』と呼びかけた瞬間、血圧が上がったり、止まりそうだった脈が戻ったりすることがあるんです」
このような、家族の声が持つ力を目の当たりにしてきた経験が、「SKY BLUE@ポジティブナース」さんの日々の看護を変えました。今では意識のない患者への処置の際も声がけを徹底し、ベッドサイドでは余計な話をしないよう心がけているそうです。
耳は最後まで聞こえているかもしれない――だからこそ、患者のそばにいる家族には言葉の力を信じてほしいと「SKY BLUE@ポジティブナース」さんは話します。
「声をかけると、まぶたを開けようとしたり、涙を流したりする患者さんもいます。(意識がない患者さんの前では)お葬式や遺産の話ではなく、感謝の気持ちや思い出話など、愛のある言葉をたくさん伝えてあげてほしいと思います」