人にはさまざまな肩書があります。筆者は“元セクシー女優ライター”という肩書ですが、最初からこの路線で行こうと思っていたわけではありません。そもそも人生設計をおこなわずに生きてきたので、セクシー女優デビューも、ライター活動もまったくの想定外だったのです。
今思い返すと女優になるよりも、この肩書きを名乗って人前に再登場する方が緊張をしたくらい、当時の私は批判されるリスクや誰も興味を持ってくれないかもという不安など、さまざまな葛藤と戦っていました。
そんな筆者について、この肩書を手に入れるに至った経緯を振り返ります。
気づけばついていた肩書、序盤からネット民にブッ叩かれ!
元セクシー女優の肩書がつく前から執筆で収入を得ていた私は、もう一度人前に出る気はなく、ひっそりと生きる予定を立てていました。しかし、この生活に心からの満足感を得られませんでした。
安定はしているけれど、全く刺激がありません。そんな日々に耐えかねた筆者は、現状を打破したくなり、禁止していた「元セクシー女優ネタで記事を書く」を実行しようと考えます。
なぜ職歴ネタを禁止にしていたかというと、過去の話を擦れば「昔を忘れられない哀れな人」扱いされることが明白だったからです。それでも、もっと刺激のある人生を送りたいと考えた筆者は、企画を練って某媒体に持ち込んだのです。
職歴ネタが採用されてからすぐに連載となるのですが、連載開始当初からインターネットの“ヤフコメ民”にびっくりするくらい叩かれ、貶され、良くも悪くも注目されてしまいます。そして定着した肩書きが『元セクシー女優ライター』だったのです。
元セクシー女優を名乗ることの大変さと少しの後悔
禁止していた職歴ネタを使ったことの影響は、良いことばかりではありません。メリットはインパクトがあるくらいで、残りは基本的にデメリットしかないです(笑)。ヒドい時は「元セクシー女優ライターと呼ばれておりまして」と名乗った瞬間「枕営業でもしてるのか」と疑われるなど、とんでもない言葉を浴びせられたこともありました。
このような珍しい肩書を持つと、強く批判されたり、答えが1つでない難しいテーマの執筆を依頼されたり、仕事内容も世間からの見られ方も厳しいものです。元セクシー女優を名乗る以上は映像業界だけではなく夜職系の質問も投げかけられるため、そちらの勉強もマストとなり、学習量が倍になりました。
これは自分にとって良いことであり、ライターとしての成長を見込める最高の機会ですが、当事者としてはけっこう大変なのは事実。特に夜職系や立ちんぼ、トー横キッズ、海外出稼ぎなどは痛々しい話も多く、本来であれば耳にしたくないネタも多いので、仕事のためといいつつ心をすり減らしながら情報を仕入れています。
私が女優を引退した理由の1つに「これ以上ダークな世界を見たくない」と思ったことがあるのに、結局ライターになってダークな世界を取材しているのは、因果を感じることがありますね。
今となっては吉と転びつつある「元セクシー女優ライター」も、なりたての頃は本当に大変でした。過去を隠して名前が出ない執筆者を続けるのも1つの手だったのかもしれません。しかしそのままでは、これほど面白い経験はできていないでしょうから、あの時媒体に企画を持ち込んだことは間違っていなかったのだと思います。
今のところは、このまま末永く「元セクシー女優ライター」として活動したいと覚悟は決めています。デメリットはあれど、面白い肩書きを与えてもらった以上は自分のできる限りのパフォーマンスを見せつつ、今後も楽しい記事を執筆していきます。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)
元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。