中東情勢の悪化を背景に、石油化学製品の原料となる「ナフサ」の供給不安が増えています。建築現場で資材が手に入りにくくなっていると訴える、大工歴36年の職人の投稿がXで注目を集めました。
原油から作られる「ナフサ」は、プラスチックや合成樹脂の原料で、建築分野では接着剤や塗料、断熱材などにも使われています。現場で起きている影響について、投稿者に聞きました。
投稿したのは、現役大工の「一本引き父さん」さん(@kudarizakasaik0)です。
4月22日、「夜遅くに青ざめた話をします」と切り出し、「ナフサ不足によりシンナー系が品薄、不足状態」「政府はあると言っていますが現場、現実は、無い状態です」と危機感をつづりました。
ナフサ不足を実感し始めたきっかけは、接着剤メーカーからの通達文でした。そこには、ボンド製品の受注ストップに関する内容が記載されており、「一本引き父さん」さんは強い不安を感じたといいます。
以前、塗料の希釈に使われるシンナーが品薄になった際、業務用通販サイトの「モノタロウ」なら在庫があると言う人がいたものの、実際にはすでに欠品していた経験があったからです。すぐに床施工に使うボンド製品の在庫を確認したところ、やはり同じ状況でした。
「水性のボンド、床貼りに必要なネタボンド、(どちらも)在庫なしです」
「一本引き父さん」さんの投稿を見た人からは、「梱包用のテープなども一部購入制限が始まっています」「大変なことになってる」といった不安の声が相次いで寄せられました。
どこか一つでも止まると、みんなストップしてしまう
「一本引き父さん」さんによると、壁や天井の内側に張る防湿シート「ベーパーバリア」に使うビニールシートも不足しているといいます。 防湿シートはポリエチレン製で、ナフサを原料としているからです。
「これがないと、天井や内壁のボードが張れなくなります。ボンド類も品薄状態なので、床フロアや巾木(はばき)、廻縁(まわりぶち)などの造作作業もできなくなります」
「一本引き父さん」さんは、ナフサ不足の影響が接着剤や防湿シート以外にも広がることを懸念しています。特に心配しているのは、樹脂製の基礎パッキンや断熱材の品薄。不足が深刻化すれば、工事の根幹を支える資材まで手に入らなくなる可能性があるといいます。
「樹脂製の基礎パッキンがなくなったら、金属製に変える方向にするしかないです。そうなると、コストが上がってしまいます…」
そもそも建築は、大工・電気・設備・内装など多くの職種が工程順に現場へ入る「リレー」のような仕事です。 資材不足で「どこか一つでも止まると、みんなストップになるのが建築なんです」と話します。
これだけ「ナフサ不足」が騒がれれば、新築やリフォームを控える人が増えるのかと思いきや、「一本引き父さん」さんの現場ではそうでもないとのこと。住宅価格の高騰が続く中、「これからもっと高騰する」と考えて早めに動くお客様が増えているそうです。
施主には「この状況なので、そろえられる品物が限られますよ」と伝えるようにしているとのこと。
「お客様の一番の不安は『この先、値段がどんどん上がっていくのか』『早めに建てた方がよいのか』という部分ではないでしょうか」
仕事の需要は増えても、肝心の資材が追いつかない――。 その結果、現場に入れない日が続けば、職人の収入にも直結します。「死活問題なので、とにかく早く解決してほしい」と「一本引き父さん」さんは話しています。