地元の企業に勤める30代の会社員Aさんは、会社まで自転車で通勤しています。骨伝導タイプのイヤホンをつけて、お気に入りの音楽を聴きながら走るのが日課です。
そんなある日、いつも通っている交差点で一時停止した時に、眉間にしわを寄せてこちらを見ているサラリーマンらしき男性と目が合いました。彼はAさんに向かって「イヤホンをつけて自転車に乗るなんて、ぶつかったら危ないだろ!」と急に怒鳴ります。これにショックを受けたAさんは、彼に謝るとイヤホンを外しました。
しかし、会社に到着してからよく考えると、Aさんは自分に非はなかったのではと考えます。理由は、イヤホンをつけていたものの、周囲の音はしっかり聞こえているし、ぶつからないように注意しながら運転していたからです。
Aさんのように、自転車を運転中に耳をふさがない骨伝導タイプのイヤホンを使用することは、違反や罰金の対象になるのでしょうか。弁護士の齊田貴士さんに話を聞きました。
「イヤホンを使用して自転車を運転=違反」ではない
ー自転車運転中にイヤホンをつけて音楽を聴くことは、法律上どのように扱われますか?
自転車運転中にイヤホンをつけて音楽を聴くこと自体は、違反や違法には当たりません。
ただし、イヤホンを使用して周囲の音が聞こえない状態や安全な運転に必要な音が聞こえない状態で走行すると、「安全運転義務違反」となり、取り締まりの対象となります。イヤホンの装着の有無ではなく、「周囲の音が聞こえているかどうか」がポイントです。
ー片耳イヤホンや耳をふさがないタイプ(骨伝導など)であれば、問題ないのでしょうか?
周囲の音が聞こえていて、警察から呼びかけがあった場合に応じられる状態であれば、問題ありません。
片耳イヤホンや骨伝導イヤホンであっても、大音量で音楽を流していて周囲の音が聴こえない状態であれば、危険とみなされて違反となるケースもあります。
ー違反となった場合、どのような罰則がありますか?
反則金5000円を納付する必要があります。反則金は取り締まり(違反の告知を受け、違反切符を受け取った日)の翌日から原則7日以内に支払いが必要です。期間内に納付すれば、刑事手続きに移行せず、前科も付かずに終了となります。
◆齊田貴士(さいだ・たかし) 弁護士
神戸大学法科大学院卒業。弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。