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花粉症で悩む夫婦 多忙で病院に行けない夫 妻の処方箋を自分用として薬局へ…その行為、重大犯罪です!【弁護士が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

仕事で忙しい日々を送るAさんは、毎年春になるとひどい花粉症に悩まされていました。しかし平日は深夜まで残業が続き、週末も家事に追われて病院へ行く時間がまったく取れません。そんなある日、同じ症状を持つ妻が病院から大量の薬を処方されて帰ってきました。

これを見たAさんは「家族だしどうせ症状も同じなんだからこの薬使えるかも」と考え、妻の処方箋を借りて代わりに薬局へ行こうと計画します。しかし、その話を薬剤師の友人に打ち明けたところ、「それ、絶対にやめたほうがいいよ。取り返しのつかないことになる」と強い口調で止められてしまいます。

効率的に花粉症を治したかっただけなのに、なぜこれほど厳しく注意されなければならないのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。

家族の身代わりでも「犯罪」になる現実

ー他人の処方箋で薬をもらう行為は法的に何罪になりますか?

他人の名前が書かれた処方箋を自分のものと偽って薬局に提出し、薬を受け取る行為は、刑法上の「詐欺罪」に該当する可能性があります。また、処方箋の名前や内容を勝手に書き換える行為は「私文書偽造罪、および同行使罪」に問われ、非常に重いペナルティーが科されます。

さらに、調剤された薬が睡眠薬などの向精神薬や麻薬に指定されている場合、「麻薬及び向精神薬取締法」に違反し、より厳しい刑事罰の対象になります。特定の個人に合わせて作られた処方薬を他人に譲渡することは法律で厳しく禁止されており、「家族だから」という言い訳は一切通用しません。

ー家族間での処方薬の譲り合いにはどんなリスクがありますか?

たとえ善意の「譲り合い」であっても、医師が処方した薬を他人に譲渡することは、医薬品医療機器等法(薬機法)第24条違反となります。医薬品の授与は資格を持った者に限定されており、一般の人が他人に処方薬をあげることは違法です。

健康面でも大きなリスクがあります。処方薬は、医師が特定の患者の体重やアレルギー、肝機能、飲み合わせなどを考慮して処方した「オーダーメイド」の薬です。同じ症状に見えても、他人が飲むと予期せぬ重大な副作用やアナフィラキシーショックを引き起こし、命に関わる重篤な事態を招く恐れがあります。

ー他人の薬で副作用が出た場合、救済制度は使えないのは本当ですか?

本当です。本来、医薬品を正しく使用したにもかかわらず重篤な副作用による健康被害が生じた場合、「医薬品副作用被害救済制度」によって医療費や年金などの給付を受けられます。

しかし、この制度が適用されるのは「医師の指示や処方に基づき、適正に使用された場合」に限られます。他人に処方された薬を譲り受けて服用したケースは、「著しく適正を欠いた使用」とみなされ、救済制度の対象外となります。

万が一、重い後遺症が残ったり、命の危険にさらされたりしても、公的な補償は1円も受けられず、すべて自己責任となってしまいます。

◆北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

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