駆けっこと腹打ちダイブが大得意!まっしろモフモフな子グマが大注目の「男鹿水族館GAO(ガオ)」(秋田県男鹿市)。2025年12月に誕生したオスのモモ太は同館で育つ3頭目のホッキョクグマです。とても順調に繁殖、生育に成功しているようですが、その秘訣は? 担当者に詳しく聞くと、生き物の命をつなぐ使命感、関わる園館への感謝にあふれていました。
現在の男鹿水族館は2004年にリニューアルオープン。オスの豪太(2003年生)は2005年に来館しました。国内での飼育頭数が減少する中、公益社団法人・日本動物園水族館協会による繁殖プロジェクトに全国の動物園、水族館が協力。豪太の元にクルミ、ユキ、そして現在のモモが「お嫁入り」し、それぞれ1頭の子が育っています。
クルミ(1996年生)は「釧路市動物園」(北海道釧路市)から2011年に来館し、2012年にメスのミルクを出産(釧路市動物園へ移動後2023年没)。クルミは2018年に亡くなってしまい、2019年にユキ(1999年生)が「姫路市立動物園」(兵庫県姫路市)から来館し、オスのフブキを2020年に出産(現在は愛知県名古屋市の東山動植物園)。その後ユキは繁殖の舞台から退き、「浜松市動物園」(静岡県浜松市)へ移動。交替でモモ(2014年生)が2024年に来館。双子を出産し、モモ太が生育しています。公式SNSではこれらの情報をこまめに発信しています。
ホッキョクグマ担当、田口清太朗さんに聞きました。
―モモ太、大人気です
「可愛いですよね。5月11日の体重は32kgでどんどん大きくなっています。親子のエサはホッキョクグマ用のペレットやサバを毎日10kgと、野菜なども与えています」
―泳げるようになって
「泳ぎの習得がすごく遅かったですね。これまでのミルク、フブキはプールに落ちて自力で上がるうちに3日もすれば泳げるようになったんですが…。モモ太は母グマに飛びかかったりして絡むことも増えました。これまでの子もそうだったんですが母親が遊ぼうとすると邪魔するんですよ」
―授乳は裏側で?
「3月末に初めて表に出した時は見えるところでしていました。しばらくは裏側でしていて、また表でするようになっています。警戒していたんだと思います。ユキも最初は裏で授乳したがっているようでしたので、本能的なものだと思います」
ふだんは単独生活で、繁殖シーズンのみオスメス同居。秋頃から出産を想定しメスが産室にいつでも入れるように飼育。時期を見て絶食させ産室にこもらせます。
―最初のペアは豪太とクルミでした
「初めての同居の時は足が震えました。実は人生で足が震えたことは2回だけで、もう1回はクルミが出産した時です。実際産まれたらもうビックリしてしまって、震えました」
―クルミが亡くなり、ユキが来館。そして今はモモがお母さんに
「クルミは産室内では神経質に見えましたが外に出たらもう全然気にしない感じ。ユキは逆で産室内ではのびのび、外に出たらピリピリしていました。モモはその中間と言うのか特別神経質でもなく、それほど放任でもなく、という印象です」
―産室の環境に変化は?
「何にも変えてないですが、通信環境が良くなって中の様子をスマホで確認できるようになり、モモの出産のころは毎朝3時半には起きて見ていました。実は、モモはカメラを絶対に壊す、扉もガンガンすると思っていたんですが、それはなくて、意外でしたね。落ち着いて産んで、授乳していました」
―モモはエサの再開が早かったと
「クルミ、ユキの時は60日後くらいだったのが、モモは30日ぐらいでエサを欲しそうにしました。60日と30日では子グマの大きさが全然違いますから大丈夫かなと悩みました。早くエサをやっても掃除に入れる時期は変わらないので衛生的にも心配でしたが、秋田は気温が低いので問題なかったです」
―豪太の功績が大きい
「落ち着いてメスの発情を待ち、ここぞという時に決めてくれます。クルミ、ユキの時と違いモモに対してはガツガツしている感じがありました。経験値が自分の方が上だというのがあったと思います。僕ら人間には分からないホッキョクグマ同士の何かがあるんでしょうね」
「ホッキョクグマの繁殖は、魚などの繁殖に比べれば担当者の貢献度はそんなに重要ではないと僕は思っています。ホッキョクグマの繁殖を目指すと決め、産室などハード面をしっかり整えることができ、今に繋がりました。うちは他に比べればそんなに歴史があるわけではありません。豪太のもとにクルミ、ユキを送り出してもらったこと、高齢になったユキを引き受けモモを送り出す決断をしてもらったことで、今があります。関わってくださっている方々の思いもしっかり受けとめていきたいです」
元気いっぱい、やんちゃ盛りのモモ太。日々、いろいろな姿を見せ多くの人をくぎ付けにしています。
「とにかくものすごく可愛いので、 まず一旦見てもらって、その後の成長も続けて追っていただければと思います」
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